学び

2019.07.23

耳の横を意識する

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。今回も、新しい発見がありました。自分の感覚をレッスンの度に更新していくことになります。

腕の下側を意識しつつ、鍵盤の浅いところを狙う

前回のレッスンで虫様筋に力をいれること、そして鍵盤の底よりもほんの少しだけ浅いところを狙うことを教えていただき、2週間、練習していました。

私の場合、虫様筋に力を入れようという意識を強く持つと、手首が固くなっていることがこの2週間の練習の中で分かってきました。虫様筋への意識と同時に腕の下側を相当しっかり持ち上げる意識を持つことが大切なのです。

鍵盤の深さについては、「このあたり?」「まだ深いかもしれない」という感じを持ちつつ、レッスンへ。

先生のピアノで弾いても、最初は「ここかな?」「深い?」と探る感じでした。聴いていただくと、「紙1枚分、深い。」とのこと。微妙です。

手前から奥に向けて指を入れていたのを、真上から真下へ入れるような感じで手を使ってみました。今度は、音に広がりが出てきたので、ポイントをつかめたようです。

耳の横に意識を持っていく

「耳の横、この辺に意識を持って、弾いてみると、音楽が変わってくるんですよ。」と先生に言われ、耳の横に軸があるようなイメージを持って弾いてみました。

まず、座って弾き始める段階で、今までと姿勢が変わることに気づきました。

今まで、自分の中で響きを追う時に、目の前からピアノの奥に向かって上がっている響きを追う、という意識で弾いていました。

耳の横を意識することで、より広い範囲にある響きに意識が向きました。自分自身の横、もう少し後ろまでとらえようという感覚になります。

確かに、自分自身がどこに音を、響きを伝えようとしているのか、というのは音楽を聴く人に届ける上で重要なことです。

より立体的に、より広い範囲に意識を持っていくことができました。「音楽が変わる」ということとつながっている気がします。

音をとらえる感覚を成長させていく

耳で響きをとらえられるようになると、響きの質、音の質が変わっていきます。身体の使い方も、自分の耳で確認しつつ、調整していくことができます。

今回、また一つ、音をとらえる時の感覚を変えることができました。成長、と言ってもいいでしょう。

一つずつ、自分自身の中にあるものを磨き、成長させていくことで、さらに良い響き、良い音楽を目指していくことができます。

いくつになってもそれができること、そのものを楽しみつつ、また、今週も練習していきます。

2019.07.09

スタンフォードの自分を変える教室

「スタンフォードの自分を変える教室」という本を改めて読みました。以前にも一読していたのですが、その時には知っている内容も多かったので、特に印象に残ったということはありませんでした。

今回、本の整理をしていて見つけ、もう一度読んでみると、興味深いこと、大切なことがたくさん書かれています。

目先の報酬と将来の報酬

ピアノとの関連ということで考えると、「将来を売りとばす―手軽な快楽の経済学」という章は特に示唆に富んでいます。

人間の脳は、目先の報酬と将来の報酬を天秤にかけるとき、ふたつの選択肢に対する脳の反応はまったく異なるのだそうです。目先の報酬は脳の原始的な報酬システムに働きかけ、ドーパミンという脳内物質によって欲求が生まれます。

将来の報酬の価値は進化をとげた前頭前皮質。人類の脳だけが他の動物に比べて大きな割合を占めている部分です。

もともと人間の報酬系も、食べ物を手に入れるために働いていた期間が長いわけです。だからこそ、より本能的な目先の報酬にひかれてしまいがち。

ピアノで言えば、「練習すること」の報酬は、曲が弾けるようになること。さらに、それをずっと続けていけばピアノが上達することです。

ピアノの練習よりも「今、テレビがみたくなる」「今、ゲームがしたくなる」というのは当然のことなのです。

ではどうするか?

本には解決策が4つ書かれていますが、ピアノの練習に役立ちそうなものは1つめと4つめです。

ほんの少し待つことで、「目先の報酬」だったものが「将来の報酬」になる。だから「10分待ってから○○しよう」と考える。

あるいは、取り組むのが大変だけれど大切なことは「10分間だけやろう」とする。実際にはそうするともっとたくさんできるようになるのだそうです。

ピアノで言えば、練習をまず10分だけしてみる、ということですね。

もう一つは「将来の自分に会う」こと。将来のことを思い描いたり、将来の自分に手紙を書いたりする。

上手にピアノが弾けるようになっている姿。人前で堂々と演奏する姿。あるいは、好きな曲を弾けるようになっている姿をできるだけはっきりと想像することで、行動を変えて、今日の練習につなげていくことができるのです。

科学的な根拠に基づく説得力

この本には、さまざまな実験の結果が書かれています。また、スタンフォード大学での人気公開講座を元に書かれているので、実際に講座に参加した人たちによる実践やフィードバックも本の中に反映されています。

だからこそ、説得力のある記述が続きます。

この他の章にも、数多くの事例をもとにした「意志力」を鍛える方法が書かれています。

私自身も、まだまだ身につけたいけれども、なかなか身についていない習慣があります。せっかく本棚から「再発見」された本ですから、この本を参考にしながら、「意志力」をさらに鍛えていこうと思っています。

2019.07.02

「そこに存在するだけ」の音

昨日は自分のレッスンに行ってきました。音色の変化、違いというものについて、大きく学ぶものがありました。

バッハのフランス組曲4番。最初のアルマンド。練習で弾きながら「ここはこういうイメージを作りたい」と 音色について自分なりに考えて、レッスンに持っていきました。

そこに存在するだけの音

実際に先生のピアノで弾いてみると、家で練習したのとはまた違う感覚があります。

ピアノの響き方が違います。フルコンで、年数もある程度経っていて、本当によく鳴りますし、繊細なタッチにすべて応えてくれる楽器です。

だいぶ工夫していったつもりですし、後半の高音で始まる部分は、静かに静かに響かせたい、そして最後の部分は厚みのある温かい音、チェロの低音のような響きがほしいと思っていました。

私が1回弾き終わると、先生が「後半、こんな感じだとどうだろう?」と弾いてくださいました。

その響きを聴いた時、「静謐」という言葉が頭に浮かびました。静かで穏やかで本当に美しい。

「高音を弾いた時に、指を動かすと、響きが上がるけれど少し広がっていきます。これはほんとうに置くだけ。結果として、『そこに存在するだけ』の音が出ます。これは、弾く人も聴く人も非常に緊張感が必要になる音です。」

もう一度弾いてくださいました。「今、1段目は置くだけ、2段目はほんの少し動かしています。」

手首の力が抜けると響きが変わる

後半の2段。私の音は何だか薄い感じがしました。「もっと温かくて厚みのある音にしたいのですが、何だか薄くて。」と伺うと、「もう少し腕の重みを乗せてみたら?」ということでやってみました。

音は大きくはなりましたが、なにか違います。「もう少し回転させてみたら?」ということで、あれこれやっていたのですが、回転を意識しているうちに、ふと手首が固まっていることに気づきました。

ポジションを上げること、腕の付け根からひじまでの下側の筋肉を意識することに目が向いていたため、手首が固まっていました。

気がついて、手首の力を抜くと、響きそのものが大きく変わりました。

自由で豊かな表現を目指す

自分でイメージを作る時に、自分の持っている範囲で色をつけようとします。先生の音を聴くと、「もっとこんな色もある」「もっとこういう色合いもある」ということを毎回感じます。

ちょうど、12色の色鉛筆と500色もある色鉛筆の違い、さらに、色鉛筆よりももっと繊細にグラデーションがつけられる水彩画との違いです。

一昨日のガヴリロフの演奏もそうでしたが、1つ1つの音、そのものの幅をどれだけイメージでき、実際に演奏で表すことができるか。

そこにかかってくると、改めて思いました。自分でももっと自由な、もっと豊かな表現ができるようになりたい。

今週はそれを課題にしていきます。

2019.06.25

投げる感覚

昨日は、都内までレッスンを受けに行ってきました。

昨日のレッスンでは「手を鍵盤に投げる」という感覚を教えていただきました。同時に、タッチの工夫についてもまた、教えていただくことで、自分の感覚を更新することができました。

手を鍵盤に「投げる」

先生のブログで、ホロヴィッツやアルゲリッチのやっていることとして、「手を鍵盤に投げ」ていることを挙げています。

支えるべき所は支えているが、同時にそれ以外の部分は脱力して固めていない。それどころか、手を鍵盤に投げている。一般的な奏法は鍵盤に手がしがみついているが、それとは真逆。自由に投げて、つじつまを合わせている程度のコントロールの仕方だと思う。

大野眞嗣「ロシアピアニズムをつぶやく」6月20日「投げる」より

この「投げる」感覚で弾こうとすると、今までよりもさらに高いポジションに手を置いて、そこから弾くときだけ降りてくる感じになります。

実際にやってみると、ポジションを上げているつもりだったのですが、まだ低かったことがつかめてきました。

さらに、手首を上げる時、手首の下側の筋肉を使って下から支えて上げるのか、上側から引っ張って上げるのか、という身体の使い方の違いでも、響きは大きく変わってきます。

私の場合、速いテンポになるとどうしても上から引っ張っている身体の使い方になってしまいがちです。

見た目の位置は同じようであっても、上から引っ張って手首の位置を上げる身体の使い方をしていると、響きが薄いものになってしまいます。

昨日もクーラントでその状態になり、テンポを落として落としてゆっくり弾くことでようやく感覚がつかめてきました。

タッチの工夫

同時にタッチの工夫についても、改めて学ぶところがありました。

アルマンドとクーラント。舞曲の性格の違いをはっきりさせるためにタッチを大きく変えていく。

クーラントでは、ホロヴィッツが多用する指を伸ばしたタッチを使っていくことで、音の性格が変わり、軽快な感じが出てきます。

実際に先生が弾いてくださって、イメージをはっきりとつかむことができました。

自分で弾いてみると、コントロールが難しい。手の内側の筋力が違うので、思うようにいかず、ストンと落ちてしまったり、響きが思うほど上がらなかったり、とちょっと時間がかかりました。

音楽に対する姿勢

レッスンで先生と話していたり、弾いていただく一節から、芸術に真摯に向き合い、ピアノを心から愛していることが伝わってきます。

だからこそ、同じ曲をいろいろなタッチで弾き分けたり、さらにどんな工夫があるのだろうか、と考えることができる。

レッスンに行くことで、ロシアピアニズムを学ぶだけでなく、音楽への姿勢やピアノへの愛情に触れ、影響を受けていることを感じます。

音楽という芸術の広さ、深さを、より感じることができます。

「僕自身、アップデートしているからね。」と昨日もおっしゃっていましたが、先生のアップデートについていくことで、私自身もアップデートし、自分の音楽を深めていきたいと考えています。

2019.06.11

大きな流れと細部と

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。行くたびに、いろいろな気付きがあります。

昨日も、身体の使い方について、曲の作り方について改めて考える機会になりました。

手のポジションと腕の下側

腕の下側を意識しているのですが、つい、音型によってゆるむということがわかりました。

特に、速いテンポで弾こうとするとその傾向が強まります。同時に、そうするとポジションが下がりがちです。

ここは大きな課題です。昨日も行く前の練習の段階で、クーラントを弾きながら、「下がっている…」と気付き、修正。

でも、先生の前で弾きながら「やっぱりこれはポジションが低い気がする」と思っていました。

案の定、「基本的に、この位置にいるんですよ。」と弾いて見せてくださいました。かなり高い位置です。どうしても、下がってしまうのですが、私のイメージよりもずっと上です。その感覚そのものを修正していく必要があります。

腕の下側を意識することで、ポジションそのものが上がっていくことを実感しました。

家でも、昨日教えていただいた「工夫」をしながら、身体が覚えるように、腕の下側を意識しつつポジションを上げていく練習をしていきます。

音色と舞曲のイメージ

フランス組曲のいろいろな舞曲。その性格を考え、どう弾き分けていくか?どの舞曲にどんな音色を使っていくか?

その中でもさらに、このフレーズは、この音は…と考えていくのですが、楽しくもあり、きりのないことでもあります。

2曲めのクーラントを弾いた後、3曲めのサラバンド。途中で、「何だか全体の印象がクーラントと似てしまっている」と思いました。重めの音を使い、何だか一本調子の感じもします。

「もっとささやくような感じでも良いかもしれません。」と聴かせていただきました。

なるほど。そうすると活発なクーラントとの対比がはっきりしてきます。一つ一つの舞曲をついつい取り出して練習しているのですが、前後のつながりをもう少し見ていく必要を感じました。

大きな流れと細部と

身体の使い方もそうですし、楽曲の作り方もそうですが、常に大きな流れと細部との両方を考える、感じていくことは大切だと改めて思います。

ピアノを弾くにあたり、体幹や腕は大きな流れになるでしょうし、手や指は細部にあたるでしょう。でも、それらは常に連動しています。

同じように、「フランス組曲第1番」は大きなくくりです。その中のクーラント、サラバンドなどのそれぞれの楽曲は腕にあたり、そして、その楽曲の中の1フレーズ、1音は手や指にあたるでしょう。

こちらもそれぞれ連動しています。小さい部分を練習する時は、大きな流れをイメージする。同時に大きな流れを中心に考える時は、細部にまで気を配る。

そんなことを考えながら、また練習していきます。

2019.05.28

呼吸を意識してピアノを弾く

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。毎回、レッスンに行くと、新しい発見と課題が見つかります。わたしにとっては、ほんとうに貴重な時間です。

昨日もやはり、貴重な学びの時間になりました。

声楽のように呼吸を意識してピアノを弾く

昨日持っていったのは、バッハのフランス組曲第1番。アルマンド・クーラント・サラバンドまで。

そして、重要なポイントとして、「声楽のように呼吸を意識してピアノを弾くこと」を教えていただきました。

同じ音であったとしても、音の長さによって、息の吐き方は変わってきます。1つの音が長ければ、その1つの音で使われる息は多くなりますし、音が短ければ少なくなります。

そのあたりの感覚を、指で、タッチで感じていく。息を吸う、吐く、ということを感じようとすると、微妙な音の長さの違いも出てきます。

呼吸を意識することで流れができる

最初の私の演奏は、「どこに向かっていこうとしているのか、分かりにくい」状態でした。

息を吸う、吐く。どれくらいの息を吐きながら音を出していくか。どこで吸っていくのか。それを感じながら弾くことは、同時に、どこに向かって音楽の流れを作っていくのかということにもつながっていきます。

音楽の自然な流れ。呼吸を感じるということは、その流れに敏感になっていくことでもあります。

最初は、「頭で考えて」いましたが、それではどうもうまくいきません。これは、「感覚」「感じること」を優先していくことが大切だと気づき、自分の中で、スイッチを切り替えました。結局は、今まで培ってきた自分の感覚を信じていくしかないようです。

自分のセンスそのものを磨く

以前にも、「センスが大切」というお話の中で、「センスは結局は磨くんですよ。」と先生がおっしゃったことがありました。

「『こうしていきたい』と思うことを増やしていくことで、磨かれていく」とも。

こんなイメージを作りたいと、頭の中で思い描き、それを実現しようとしていくことで、自分のセンスも磨かれていく。今回の感覚も同じだと思います。

呼吸の感覚を感じる。それを意識的にしていくことで、感覚そのものが磨かれていくのでしょう。

タッチの弾き分け、耳の使い方。音楽にはいろいろな要素がありますが、それら1つ1つを意識しながら、また、自分のセンスを少しでも磨いていこうと思っています。

2019.05.14

バランス感覚が必要

昨日は、自分のレッスンに行ってきました。2日連続の都内。駅から先生のオタクまで、 日常に戻った風景を見ながら歩いていると、日曜日のにぎわいが不思議な感じさえしました。

タッチの深さのバランス

昨日は、初めて持っていくフランス組曲1番のアルマンド。「タッチが少し深いかもしれない。音に角があって、カクカクしたかんじがする。」とのこと。

新しい曲に入る時には、鍵盤と指とのコネクトがしっかりできるように、ゆっくりと力をかけながら、鍵盤の底まで弾いていきます。今回の曲は、初めてなので、その練習をずっとしていました。

その次にできるだけ持ち上げる、鍵盤の底には一瞬だけ触れる、という感覚で弾くようにしていきます。

底までしっかり、という感覚から、上にポジションを上げて弾いていく感覚に変えきれず、全体にタッチが深めになっていたようです。

「これくらいでしょうか。」と心がけて上げ気味にしてみると、確かに、音の角が取れて丸くなった感じがしました。

しっかり底まで弾くこと、できるだけ上に上げる意識で弾くこと。そのバランスを取りながら練習していくことが大切です。

テンポのバランス

先生は、先週から「音を聴く」ことに重点を置いて、レッスンしていらっしゃるとのこと。なかなか耳が使える人は少ないんですよ、とおっしゃっていました。

聴くためには、聴けるところまでテンポを落として練習するしかありません、とも以前から言われていました。

ただ、それをしようとしていると、いつまでたってもテンポがあげられません。前回のアルマンドも、なかなかテンポがあげられず、最後のレッスンで「それでは何だかもたもたした感じに聴こえます。」と言われ、ようやく速く弾くようにした経緯があります。

「速く弾こうとすると、聴こえにくくなってしまうのですが。」と伺うと、「速いテンポでも全部の音を聴けるようになるには、少し時間がかかりますね。」とのお返事でした。

これも、バランスなのかもしれません。できるだけゆっくり、音の一つ一つを最後まで聴きながら弾くことと、曲に合わせたテンポで弾くこと。この部分もそれぞれ意識しながら練習していく必要がありそうです。

レッスンで課題を教えていただく

レッスンでは、こうやっていつも課題を教えていただいています。「こう解釈して、こう演奏する」という部分を教えていただくのではなく、今の自分自身が解決するべき課題。

今回は、「バランス」ということが1つ大事な課題になります。そのために、どうしたら良いか。練習の仕方そのものも、また考え、工夫していく必要がありそうです。

2019.05.13

ピアノのオフ会に参加

昨日は、オフ会(お互いにピアノを弾き合う会)に参加してきました。神田明神のお祭りで、お神輿も何基も見かけましたし、たくさんの人出でにぎわっていました。

定期的に、聴いてくれる方のいる場で弾く機会があることは、私にとって、とても良い刺激になっています。

聴くことの大切さ

途中で、大野先生も顔を出され、「聴くこと」についてのお話をしてくださいました。

音の最初から最後まできちんと聴けている人は少ないこと。レッスンでその耳の使い方に着目して演奏を聴いていると、それぞれ、人によって耳の使い方の癖があること。

高音域は聴けているけれど低音域は聴けていないとか、その逆もあるそうです。また、近い音を聴く癖があって、遠くの響きを聴けていない場合もあるそうです。

では、どうしたら良いのか、ということについて「聴ける速さで練習することでしょうね。」とおっしゃっていました。

私も、今回の練習の中で、どうしても右手の旋律を追う傾向があることは気づいていました。バッハだったのですから、もっと左手の旋律をしっかり聴き取り、それを出すほうが良い。最後の最後になって、ようやくそこに気づいたのですが、たぶんそれが私の癖なのでしょう。

仕上げていくプロセスの勉強

今回、フランス組曲の3番を演奏しました。仕上げていくプロセスも含めて、いつも勉強になります。

今回、最後まで課題になったのが、クーラント。私の中に、「クーラントは速い」という思いが強く、慌ててしまうのです。

それでも、何か自分の中にしっくりしないものを感じたので、いろいろな方の演奏を聴き直してみました。

前回のレッスンでも「どうも、弾きにくそうにしているんだよね。」ということで、手の使い方をもう一度見直していただきました。

わかったことは、すばらしい演奏の場合、テンポが「速い」だけではないということ。すべての音に神経が行き届き、一音たりとも気を抜いた音がないということ。当たり前のことなのですが、改めてそれを感じました。

それを実感したので、今回のクーラントはテンポを落とし、その分、音をきちんと聴くことを心がけることにしました。

タイミングとして、聴き直したのがぎりぎりだったので、もう少し早い段階でそのことに気づくべきでした。

「真似をすることになるから、聴かずに楽譜を読みなさい」と高校時代に言われたことがあったのですが、これだけたくさんの演奏家の音楽が聴ける時代。逆に「聴くことで学ぶ」ということを、私はもっともっとしていく必要がありそうです。

ともに学ぶ人がいる喜び

休憩時間には、話に花が咲きました。今回の話題は11月の発表会。半年をきり、そろそろ曲を決めている方が出てきたタイミングです。

それぞれの曲について、作曲家について。難しさ、美しさ、課題。いろいろな話題が出ました。

こうやって、奏法について、ピアノについて、そしてピアノを学ぶということについて、ともに学びあえる人がいる、ということは、とてもうれしいことです。

また、次の機会に向け、練習を始めましょう。先生が「フランス組曲、全部をやりましょう。」とおっしゃっていて、6曲、すべてに取り組むことになります。次は1番。大好きなバッハの美しさを、少しでも表現できるように、練習を重ねていきます。

2019.04.30

その日の練習の記録を細かくとってみる

「成功する音楽家の新習慣」。 題名がちょっと大げさな感じがして、買うのが気恥ずかしかったのですが、 楽器店に特設で設置してあった書籍コーナーで、師事する先生の本の隣にあったので、買ってきました。

アメリカの音大1年生を主な対象者として書いた本、とのことですが、練習の捉え方から本番、そして、音楽を職業としていくことなど、多岐にわたった内容が盛り込まれています。

特に、練習の仕方については、現在の私とは、ずいぶん発想も方法も違っているので、取り入れられるところから実践してみようと考えています。

その日の練習の目標を明確にする

今までは、次のレッスンまでに「弾けるようになる」という意識でした。この本を読むと、もっと目標を明確にする必要がありそうです。

「今日の」「この曲の」練習の目標を考える、ということ。確かにそこまでは考えていませんでした。

ということで、昨日の私の「バッハ・フランス組曲第3番」の練習の目標は、「ミスタッチをなくすこと」「音色に変化をつけること」の2つを挙げることにし、メヌエットとジーグを中心に練習することにしました。

記録を細かくとってみる

今までも、練習時間と簡単な感想の記録はとっていました。でも、この本を読むともっと細かく記録していくほうが良いと気づきました。

練習にはくりかえしがつきものですが、「漫然と」くりかえしてはいけない、ということが、あちこちに書かれています。「くりかえして練習すること」場合にも、1回ごとに練習の意味づけをしていく、そんな意識が必要だというのです。

今までは「この小節」であるいは「このフレーズで」ミスが多い、という捉え方だったのを「この小節の3拍目」と捉えるようにしてみる、ということです。

そして、それを記録してみる。楽譜に書き込む方法が紹介されていたのですが、それをすると、たくさんあると後で見て訳がわからなくるかもしれないと思ったので、とりあえず昨日はノートに書き出してみました。

くり返すことへの意識が変わってくる

実際にやってみると、くり返すことへの意識が変わってきました。逆に言うと今までいかに「漫然と」くり返していたか、ということに気づきました。

問題となる箇所を特定するためには、頭を使って考えなくてはいけません。「弾けないからこのフレーズ全体を取り出して練習する」という段階の前に、「どの箇所が、どうして」問題なのかを考える段階が入ることになります。

今までは、それをレッスンで先生に教えていただいていました。自分で解決できる部分が増えれば、また違う内容を教えていただくことができます。あるいは、どうしても自分だけで解決できない部分を自分で取り出して、うかがうこともできます。

しばらくこの方法を行ってみようと思っています。練習の質を高め、同じ時間内でより効果的な練習をしていくこと。それを目指していきます。

2019.04.23

弱拍にスパイスを

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昨日はレッスンに行ってきました。都内は、ここ埼玉県よりもひと足早く春が来ていましたが、湯島聖堂前の銀杏並木の新緑がとても美しく、思わず写真を取りました。

速いテンポの曲で変化をつけるには

バッハのフランス組曲です。今回は、最後まで弾けるようにすることが一つの目標ではあったのですが、実際に練習していると、どうも平板な感じがしていました。特に速いテンポで弾くクーラントやジーグなどが気になります。

ポジションは元に戻ったので、基本の音の出し方そのものはある程度できています。

その中で、どう変化を付けていったらいいのか、自分の中でイメージのつかめるフレーズもありますが、ハッキリとはつかめないフレーズもあって、課題として抱えた状態でレッスンに臨みました。

一通り弾いたあと、ポジションが落ちているところはないことと「もう少し余裕が持てると良いですね。」とのことだったので、特に速い舞曲で平板さが気になるということを質問してみました。

弱拍に変化をつける

昨日のブログにも書きましたが、そういう場合、まず、「感覚が追いつくくらい、ゆっくり弾く」ということが大切になってきます。

「では、ゆっくり弾いてみましょう。」ということで最終曲のジーグをゆっくり弾き始めました。特に平板さが気になる下降音形の部分で、「ここをどうしたらよいのか分からないのです。」

「弱拍の時にはねあげるタッチを使うのも一つの方法です。」と教えていただきました。

8分の3拍子の2拍目です。ここでこの音を目立たせて良いのか?ただ、実際にやってみると、変化がつきます。「僕ならもっとはねあげるかもしれない。」と言われ、思いきってもう少しタッチに変化をつけてはね上げてみました。

はね上げるタッチは、「スパイス的に使う」ことが多いと、先生はセミナーでも言っていました。

「弱音にスパイス、ですね。」と笑いました。強拍は、聴き手も意識しながら聴いています。その中で、弱拍にはね上げるタッチが入ることで、全体としてつながってまとまりのある感じに聴こえるのです。

演奏を魅力的なものにするために

「ホロヴィッツがよくやるんですよ。ショパンなどを弾く時にもよくやっています。」

「弱拍はおとなしくしなくてはいけないと思っていました。」と言うと「アカデミックにはそうかもしれませんが、実際の演奏は魅力的であれば良いでしょう。」

「いろいろやってみてください。遊び心があったほうが良いですよ。」

「結局はセンスです。でも、センスは元々持っているものではなく、問題意識を持って磨くものです。」とも言われました。

何だか、こうあらねばならないという縛りが1つとれた気がしました。どんな演奏が魅力的であるか。そのために何をしたら良いか。自分なりに工夫をしていくこと。枠にはまらないで、魅力的な演奏を目指していろいろ試行錯誤してみること。

また大きな示唆をいただきました。練習しながら一つずつ試してみます。