2018.11.05
フィガロの結婚六重唱で「ソナタ形式」について学ぶ
こんにちは。
今日は、面白い本を見つけたので、そのご紹介です。
田村和紀夫著「カラー版徹底図解 クラシック音楽の世界」(新星出版社)
音楽史、確かに勉強しました。
大学時代に講義を取り、さらにその講義で指定された「バロック以前の音楽」「弦楽四重奏」「現代音楽」の3つのコンサートに行ってレポートを書き、試験を受ける。
当時学んだ内容が断片的には頭の中にあるのですが、今ひとつ体系性に欠けている部分があるのも確かで、もう一度、振り返ってみようと思い、この本を手に取ったのです。
さらに、この本を読もうと思った理由に「『フィガロの結婚』の六重唱でソナタ形式を説明する」という説明文を読んだことも大きいですね。
ピアノを弾いていると、どうしても、頭の中の音楽史もピアノ曲にかたよりがちです。
ソナタ形式というと、すぐにモーツアルトやベートーベンのピアノ・ソナタが浮かんできます。
それが「フィガロの結婚」とは。
六重唱も知っていますが、あれもソナタ形式なの?という感じでした。
この本ではソナタ形式の基本として、次のように書かれています。
1 全体は「提示部」「展開部」「再現部」の3つの部分からなる(最後に「コーダ」がつくことがある)。
2「提示部」には「第1主題」と「第2主題」が置かれ、反復記号で閉じられる。
3「展開部」は絶え間なく転調を繰り返す部分で、最後に再現を準備する部分となる。
4「再現部」は提示部が再現される部分だが、第2主題は主調に戻される。
そして、フィガロの結婚の六重唱を例に取っているのですが、提示部の第2主題の部分を「劇の萌芽」とし、展開部を対立から和解への「ドラマの形式」としています。
これを読んで、モーツァルトのピアノ・ソナタの展開部がどんどん転調している感覚が、少しつかめた気がしました。
ちょうどモーツァルトのピアノ・ソナタを弾いている生徒さんがいて、レッスンで毎週聞いているわけですが、自分が弾くのとも、CDなどで聞くのとの中間の感覚で聞いている感じです。
そうすると、この展開部の転調の多さがとても印象に残るのです。
「ドラマ」ととらえると、登場人物が何人かいて、それぞれにはそれぞれの気持ち・感情があり、それを描いている。
そんなイメージが浮かんできました。
今までより、転調の一つ一つの色合いを、よりはっきりと感じることができそうです。
ベートーベンのピアノ・ソナタだと、また少しイメージが違うような気もするのですが、少なくともモーツァルトのピアノ・ソナタを演奏する上では、とても大きなヒントをもらった気がしました。