ピアノ教室

自分で納得のいくように練習する

自分の納得のいくように練習できるかどうか、というのはとても大切なことです。自分の中に基準があるかどうか、ということにつながってきます。

基準を自分で作る

新小学校1年生になる生徒さんの「ゴセックのガボット」(ピアノひけるよ!シニア)をレッスンしました。

スタッカートも軽やかに、とても上手に弾いていました。

「とてもすてきに弾けたね。」というと「家で練習していた時は、いっぱい間違えて、違う音をたくさん弾いていたんだけど…。」とのこと。

「それで、今日はたくさん練習してから来たの?」と聞くと、「そう。」とのこと。

自分なりに、まず「音符通り間違わずに弾けるようになりたい」という基準ができ、それに向かって練習してきたのでしょう。

自分の中に仕上がりのイメージをもつ

別の小学生の生徒さん、ディズニー映画「リトル・マーメイド」の中の「パート・オブ・ユア・ワールド」を練習中です。

この生徒さんも、音符が読めるようになって、自分で弾ける力がどんどんついてきました。

最後の仕上げの段階で、「こんなふうに弾いてみたら、より美しくなるよ。」ということで、話しながら、いくつか弾き方を変えて、私が弾いてみました。

「ああ、そうか!」ということで、生徒さん自身が、自分なりに少し工夫を加えていくと、また、曲の印象が大きく変わりました。

自分の中に仕上がりのイメージができてくると、音楽も大きく変わります。

「やりたい」という気持ちが大切

大切なのは、やはり「こう弾きたい」という本人の思いでしょう。

そのスタートになる部分を作る最初のうちは、練習回数を示して弾けるようになる体験を増やしていったり、弾き方の例を示したり、ということも必要になってきます。

最初は、先生やお家の人から与えられた部分は大きいかもしれません。でも、成長するにつれて、それがはっきりとお子さん本人のものになっていくのです。

趣味としてのピアノを楽しむ

3月最終週で、中学生以下の生徒さんの面談が終わりました。

それぞれのこの1年(途中から始めた生徒さんもたくさんいますが)の進歩・成長を、保護者の方と一緒に確認し、また次の一年、頑張ろうというお話をする良い機会になりました。

両手で弾けるようになった!

小さいお子さんが多いのですが、中学生になってからピアノを始めた生徒さんもいます。

大人の「趣味のピアノ」に近いですね。その生徒さんの場合、学校が忙しいので、レッスンも毎週ではなく、月に2回くらいのペースです。

でも、お家での練習もしっかりしてくるので、半年でピアノランド1と2の2冊が終わりました。中学校2生にもなると、知的な理解力が高いので、楽譜の読み方などはすぐに理解して覚えていったので、その柔軟性に感心していました。

生徒さん自身の1年のふり返りの中の「うれしかったこと」では、楽譜・楽語を覚えたこととともに、両手で弾けるようになったことが挙げられ、特に「頑張った」実感があったようです。

弾きたい曲を弾く段階が見えてきた

両手で弾けるようになってきたし、もう少しすると、自分の弾きたい曲が弾けるようになってくるかな、と思って、面談でちょっとそんな話をしました。

生徒さんが何曲かあげた中に、「千本桜」がありました。ちょうど去年のクリスマス会で、ボーカロイド曲を弾きたいという希望の生徒さんがいたので、初心者向けの連弾の楽譜をもっていて、その中に入っています。

「楽譜がありますよ。」ということで、見せてみると「この曲の難易度はどれくらいなんですか?」との質問。

「ピアノランドの3が半分くらいまで弾けるようになれば、これも弾けるようになります。」と言うと、うれしそうでした。

編曲を選んで初心者でも弾きたい曲を楽しむ

今は、一つの楽曲でも、さまざまな編曲で楽譜にして、それを販売しています。ですから、初心者向けに編曲してあるものを選べば、かなり弾ける曲の幅が広がります。

趣味でピアノを弾きたいと思っている方にとっては、恵まれた時代になったと言えるかもしれません。

最初の半年~1年位、両手でメロディーと伴奏が弾けるようになる段階までは、教本を中心に練習したほうが、結果的に上達が早いでしょう。

それ以降は、教本に加えて自分の弾きたい曲を積極的に楽しんでいく。そうすればピアノを弾くことの楽しさを、生活の中で味わっていくことができるようになります。

新小学校2年生のピアノ体験レッスン

昨日は、4月から小学校2年生になる女のお子さんの体験レッスンをして、ご入会を決めていただきました。

体験レッスンの内容は、年齢によっても大きく変わります。今回は、もう、左右もわかる、字も読める、数字もわかる、という小学生のお子さんなので、そこに関係することは、できるだけ少なくして、実際にピアノに触れる時間を長めに取りました。

小さいお子さんの場合には、右左の部分を右左ゲームをたくさんやって、ていねいに確認していきます。

右左ゲームとリズム打ち

まずは、右左の確認です。右左ゲーム。小学生なので、けっこう速いテンポでやりましたが、スムーズです。

ト音記号で右手、ヘ音記号で左手の練習も最初にやりました。そして、ト音記号のド、ヘ音記号のドの音符を書いて確認します。

次にボンゴを使ってリズム打ち。動物や昆虫の書いてあるカードを使います。ライオンだったら4つ。ライオン4頭だったら、4×4を同じ速さでたたく練習です。

指人形を使って手の使い方の確認をする

今回、紙の指人形を作って使ってみました。写真は、私の指なので、残念ながら、かわいくないですね。

お父さん指~赤ちゃん指までの絵と、指番号が書いてあります。このポイントは、指人形をはめることで、指の関節が曲がらないようになる、ということにあります。

ロシアピアニズムの奏法の中で、指の付け根から曲げられるようになるということは、とても大切なことです。

でも、特に小さいお子さんの場合、それが難しい場合が多いと感じていました。ですから、厚めの紙の指人形をはめることで、付け根から曲げる練習になると思いつき、さっそく作ってみたのです。

指人形をはめるだけで、何となく楽しくなります。両手のそれぞれの指にはめて「こんにちは」をさせます。そして、指の付け根の関節が曲がることを確認しました。

同時に、指番号も確認しました。後で、弾く時は、まず、3の指から練習します。

ピアノのふたをあけて中を見る

次に、体験レッスンに最近必ず取り入れている、ピアノのふたをあけて、音が出る時に、動いている部分を確認しました。

電子ピアノで練習する場合の多い最近のお子さんたち。スイッチがない、ピアノの音がどうして出るのかを知ってもらうことは、とても重要だと考えています。

鍵盤を弾くとハンマーが動く様子、右のペダルを踏んでダンパーが上がる様子、左のペダルを踏むと鍵盤全体が動く様子を見てもらいました。あっちこっちが動く!上がる!とびっくりしたようです。

その後、ピアノの真ん中探し。一つずつ右と左から鍵盤を弾いて真ん中を確認していきます。

実際にピアノを弾いてみる

真ん中を確認し、ドの音を使って、音を出してみます。3の指を使って、さっき指人形でやったように、付け根から曲げて弾いてみます。

やはり、指人形を使って、あらかじめ練習していたので、指の付け根から曲げる感覚はわかりやすかったようです。最初はゆっくりと、音が消えるまでずっと聞きながら練習してみました。

次に、ドを左右交互に4拍×8小節練習しました。すぐにできるようになったので、最後に私と連弾して、体験レッスンは終わりです。

「楽しかった」が大切

体験レッスンが終わったあと、「楽しかった。」と言っていました。やはり、この感覚が大切です。

ピアノを弾いてみる→練習する→できたら楽しい この流れができることで、ピアノの練習への意欲は高まります。

レッスン日程も決めて、4月からを楽しみに帰っていきました。私も、新しい生徒さんとのこれからのレッスンがとても楽しみです。

「両手でピアノが弾けるってすごいことですね」

「両手でピアノが弾けるってすごいことですね。左右違うことをするんですものね。」

確かにそのとおりです。ピアノでは、右手と左手が全く違う動きをするのですから、最初はちょっと戸惑います。でも、慣れてくると、それが当たり前になってきます。

慣れてくると当たり前に

最初に書いた言葉は、先日、小学生の生徒さんのレッスンの後、聴いていらっしゃっていたお母様が言っていたものです。

お子さんは、ピアノを始めてそろそろ2年になります。だんだん曲が難しくなってきて、左手の伴奏の上に、右手のメロディーがある曲を弾けるようになってきました。

当然、左右別々の動きをすることを当たり前のこととして、弾けるようになっています。

お母様は、ピアノはほんの少しやっただけなので、お子さんが今のように弾けることを感心して見ているのだそうです。

慣れるまでは、とにかくゆっくり弾く

確かに誰でも、最初は少し戸惑います。違う動きをするということは、例えば右手の親指と左手の小指を一緒に動かすことになります。

特に、弾くタイミングが左右違う時、一緒に動いてしまうので、その部分の慣れが必要です。

ただ、その頃には、ほとんどの生徒さんが、自力でかなり楽譜が読めるようになっています。

ですから、右手と左手を別々に練習する課題を宿題としてお家でしてきてもらい、できるだけ、両手で合わせる最初の段階をレッスンで見るようにしています。

初めて左右のタイミングの違う曲を弾く時には、とにかく、とてもゆっくり、考えながら弾ける速さから始め、タイミングが理解できてから、少しずつ速くしていくのです。

ピアノらしい楽しさが味わえるようになる

また、左手の伴奏の上に、右手のメロディーがつくようになると、ピアノらしい楽しさが味わえるようになってきます。これができるようになることは、生徒さんにとっても、とてもうれしいことです。

「両手になって大変だけど、面白くなってきた。」と生徒さん自身が言ったり、お母様から「大変だけど頑張る、本人が言っています。」というお話を聞きます。

大きなステップではありますが、同時に大きな楽しさももたらしてくれるのです。

ピアノの練習を通してより良い自己イメージを身につける

ピアノを学ぶことは、ピアノそのものの上達だけではありません。特に小さいお子さんの場合、より良い自己イメージを描くことができるようになる、という良さもあります。

面談でいろいろ保護者の方からお話しを伺う中でわかってきました。ピアノそのものの進歩・上達はレッスンで見ることができますが、お家での練習の様子からの成長ぶりを知ることができるのです。

練習すればできる、という自己イメージ

小さいお子さんの場合、「弾けないと「くやしくて泣くんですよ。」という場合があります。

なかなか思うように弾けない。そうするとイライラするのですね。それが「泣く」という表現方法になってしまいます。

でも、そういう気持ちを持つということは、逆に上達したいという強い思いの表れでもあります。

去年の面談では、そんな話も出ていた幼稚園年長の生徒さん。1年たった今年、「練習すればできるようになる、という見通しが持てるようになったのでしょうね。泣くことはなくなりました。」というお話がお母様からありました。

これはとても大きなことです。自分自身の中に、「今はできなくても練習すればできるようになる」というイメージが出来上がったことですから、大きな自信になります。

自己イメージの向上が進歩の連鎖を生む

自分に対しての良いイメージを持つことは、様々な良い連鎖を生んでいきます。

学習でも、運動でも同じように「今はできなくても、勉強・練習すればできるようになる」という気持ちを持って、実際に取り組むことができるようになります。

特に中学生の学習面では、私の経験からも、家庭学習そのものに取り組めない生徒が多かったのです。ですから、実際に取り組むこととしっかり結びついた自己イメージがあるというのは、とても重要なことです。

そういう経験があるからこそ、特に練習の習慣化ということについて、私自身あの手この手で身につくように工夫をしています。

幼児期は一つのチャンス

中学生だと、本人が「やろう」という気持ちになるかどうかがとても大きなカギを握ることになります。

でも、小さいうち、特に幼稚園~小学校1年生くらいの年齢のうちは、それほどの自覚がなくても、より自然にその感覚を身につけることができます。

ピアノの上達そのものも、それくらいの年齢から始めるほうが、自然に、無理なくできるようになります。

そういう意味で、幼児期は一つの大きなチャンスであると言えるのです。

ピアノでいろいろな曲が弾けるようになってうれしい

ここのところで、年度末の面談をしています。生徒さんと、保護者の方と私で、この1年のふり返りをしていきます。この1年のピアノレッスンで、できるようになったこと、頑張ったことを一緒に確認するのです。

ピアノを習っていてうれしかったこと

昨日も3人の生徒さんと、保護者を交えてお話しました。ふり返りの項目の中に、ピアノを習っていて、うれしかったことは?というのがあります。

昨日、お話した生徒さんが、3人ともほぼ同じ答えだったので、ちょっとびっくりしました。

小学校3年生の生徒さんは「いろいろな曲に出会えたこと」。1年生の生徒さんは2人とも「いろいろな曲がひけるようになったこと」。

確かに、教本の目次を見ただけでも、たくさんの曲が並んでいて、こんなにいろいろ弾いてきたのだな、ということが分かります。

「どんな曲を覚えている?」と聞くと、クリスマス会の曲を挙げる生徒さんもいますし、仕上げるのに苦心した曲を挙げる生徒さんもいます。

そうやって自分の中で、こんな曲を弾いてきたのだな、という思いから、「いろいろな曲が弾けるようになったこと」という言葉が出てきたのでしょう。

練習の習慣もついています

練習について、保護者の方にうかがうと、「ちょっとした時間を見つけて弾いています」「自分の中で、毎日やること、と決めているようです」ということで、言われなくても練習する習慣がついている様子が分かり、ほっとしました。

小学校低学年でも、学童保育に通っているお子さんの場合、家にいる時間が短いので、練習時間を確保するのが難しい場合があるのです。

「晩ご飯が早いので、ご飯を食べて、食器を片付けたあとで、弾くことにしています。」と具体的に答えてくれた生徒さんもいました。

毎日の中で、少しずつ積み重ねていくことの意味を、それぞれの年齢に応じて、生徒さん本人が実感できているようで、嬉しく思いました。

できたこと、頑張ったことに目を向けていく

このふり返りでは、基本的に「できたこと」「頑張ったこと」に目を向けていきます。

そうすることによって、自分で自分の良さを見つけていければ、と考えているからです。

年齢ごとに課題は変わっていきますし、ピアノの段階ごとに、それぞれの課題も変わっていきます。だからこそ、節目には前の段階ができたことを自分で確認して、次に進むエネルギーにしてほしいと思っています。

また来年度もたくさんの曲を弾こうね、と面談を終えました。

保育園年少さんの体験レッスン

お子さんにピアノを習わせ始めるタイミング。迷うかもしれませんが、本人が「やりたい」と思った時は、チャンスです。

保育園年少の男のお子さんの体験レッスンをし、入会を決めていただきました。

小学生のお姉ちゃんが、先にレッスンに来ていて、弟さんもずっとやりたい気持ちを持っていたのだそうです。

お母様も「本人の気持ちが大事だと思って。少し早いかもしれませんが、タイミングがあると思うので、そろそろ始めようと思います。」とおっしゃっていました。

最初は右左のゲームから

ごあいさつをして、右左ゲームから。「右と左、分かる?「右はどっち?」と聞くとまったく迷わず、「こっち」と右手を挙げました。

右左ゲームもまったく迷いがありません。これには感心しました。ト音記号とへ音記号を使った右左ゲームもすぐできました。

音符を書く練習の第一歩である、風船のなぞり書きと色塗り。赤い風船ができました。

次に、線の間、線の上下、線上の○のなぞり書きもしました。鉛筆で注意深くなぞっていきます。ていねいに、ていねいに。一生懸命なぞっている様子がとてもかわいい。

年少さんなので、一つ一つの内容を短くして、飽きてしまわないように、ということを心がけて体験レッスンを組み立てていきます。いくつかなぞって「あとはお家でやってね。」ということで、用紙をわたしました。

ピアノのそばに行って、ピアノの中を見せました。電子ピアノのお子さんが増えているので、必ず見せるようにしています。

ピアノの中を見てびっくり

スイッチがなくても音が出ること、鍵盤を押すとハンマーが上がって音が出るという仕組みが少しでもわかってほしいと思っているからです。

下からハンマーがポンと上がってくる様子にびっくり。ペダルを踏んでダンパーが動く様子にもびっくり。「上に上がった!」

今度は右と左から一つずつ鍵盤を弾いていって真ん中探し。

ドの音を弾きます

その後で、真ん中のドを弾く練習をしました。長くドの音をのばして弾きます。手をブラブラさせて、柔らかくして、ドの音を3の指で弾いていきます。「ぶらぶらさせて、そっと弾いてね。」

音が出るとほんとうにうれしそうで、何回も練習しました。最後に伴奏をつけて連弾し、体験レッスンは終わりました。

見ていたお姉ちゃんが「○○ちゃんも、今日は宿題が出たね。」と言っていました。自分が毎週宿題があるので、弟も同じだ、と思ったのですね。

新しい出会い

新しい生徒さんとの出会い。私にとっては、ピアノの楽しさをどう伝えるか考える機会でもあります。

それぞれ個性がある生徒さんに、どうしていったらより楽しくピアノが上達できるようになるか、工夫しながら、体験レッスンも生徒さんに合わせてその場で考えていくのです。

かわいい年少さんの姿を見送りながら、これからのレッスンが楽しみになりました。

響きを聴きながら身体の使い方を工夫していく

ロシアピアニズムの奏法のレッスンにいらっしゃっている、大人の生徒さん。音の質が変わり、響きのある音が出るようになってきました。

手の使い方、自分の身体の使い方に対するイメージを変えることでも、音は変わり、音楽も変わっていきます。

聴き分けながら単音を出していく

単音で、響きを確認しながら、弾いていきます。

ずいぶん響きが上がるようになってきましたし、一つの音の印象の違いが聴き分けられるようになってきました。

「これは、下に落ちてしまいましたね。」とか「これはボヤッとした感じの音ですね。」など、言葉に表現できるようにもなってきました。

どんな音を目指していくか、ということも重要であり、そのためにも聴き分け、それを言葉にしていくことができるのは、とても大切なことです。

昨日は、手首の位置のイメージを変える、ということをしてみました。指3本分、下(肘の方)側にあるというイメージにするのです。

身体のイメージを変えるだけで、音が集まって、凝縮した感じになってきますし、安定して響きのある音が出るようになってきました。

音のつながりを感じながら手を使っていく

前回、ゆっくりした部分で、響きのある音が出てきたシンフォニア7番。今回は、全体もずいぶん変わってきました。

ロシアピアニズムの奏法の場合、旋回する手の動きがとても重要です。16分音符の連続の部分をとてもゆっくり、片手ずつ、旋回を意識して練習してみました。

音の響きそのものは、とても良くなってきたので、「ご自分ではどんな感じがしますか?」と聞くと「旋回させましょう、と言われたから旋回させている感じになっています。」とのこと。

次は、さらにゆっくり。音のつながりや、フレーズの中で特に歌いたい音を意識しながら旋回させてみました。

それをしていくと、音楽そのものが大きく変わっていきます。歌っている感じになってくるのです。

音楽を作るために

今度は、ご自分の感覚としても、意味のある旋回として捉えられたようです。

確かに、自分の感じる音楽を作るための奏法であり、音の響きであり、手の使い方です。それを体感することができれば、また大きく変わっていきます。

「つい、『弾ければそれで○』という感覚の練習になってしまいますが、そうではないですね。」とおっしゃっていました。

本当にその通りです。どう弾いていくか、どんな響きを出していくか。そこを考え始めたら、一つのフレーズにもいろいろな弾き方があり、どう弾いていくのがより美しいか、考え始めたらきりがありません。

そんな感覚が身につくと、さらにピアノが楽しくなっていきます。

意志が上達を早める

自分がこうしよう、という意志を持って、そこに向かっていこうと決めた時、実現の可能性が高まります。何かにつけてよく言われることですが、ピアノでも同じです。

弾けるようになろう、と思った時、行動が変わりますし、結果として上達が早くなります。

幼稚園年長の生徒さんの例

あるレッスンの時に、楽譜に書き込みがしてあるのに気が付きました。間違いやすい、臨時記号と左手の伴奏の音が1小節ごとに変わる部分です。

「これ、自分で書いたの?」「そう。」何でもない様子でさらっと答えてくれました。

お迎えにきたお母様に伺ったところ、「自分で、付けたんですよ。時々ここはつけなくても、と思うところもあるのですが、だいたいは、ポイントをつかんでいるようですよね。」とおっしゃっていました。

ほんとうにそうです。自分にとって弾きにくい部分を自分で分かって、印をつけていることに驚きました。

当然、上手に弾けていました。その生徒さん、今も、自分で印をつけていますし、着実に上達しています。

小学校1年生の生徒さんの例

先日のレッスンでのことです。小学校1年生の生徒さんの楽譜にもたくさん○がついていたり、書き込みがしてあったりしました。

やはり、リズムの難しいところについています。前回のレッスンの時、なかなか弾けなかった部分にもついています。

「これ、自分でつけたの?」と聞くと、「はい。」とのこと。

よく見ると、ところどころに、「ド」のように階名の書き込みのしてある部分もありました。練習している中で、弾きにくい部分に印をつけ、さらに間違いやすい部分に書き込んでいったのでしょう。

ちょうど両手で違う動きが入ってきたところ。難しく感じてもいるようですが、ここのところ、とても頑張っている様子が見えていました。楽譜の書き込みから、「上手に弾けるようになりたい」という強い気持ちが伝わってきました。

上達したい思いがそこにある

2人とも、弾けるようになりたい、上達したいという思いが強くありました。だからこそ、自分で書き込みたくなったのでしょう。

その気持ちが伝わってくる楽譜を見て、とてもうれしくなりました。まっすぐに、一生懸命に、頑張っている様子が伝わってきました。

その思いがあるからこそ、毎日、練習に向かうことができます。その思いをしっかり受け止めていこう、と私自身も改めて感じたレッスンのひとときでした。

練習して弾けるようになるとピアノは楽しい

ピアノが楽しくなるには、練習が欠かせません。「楽しい」と思える生徒さんは、練習する→弾けるようになる→上達が実感できる→楽しい→だからもっと練習するという流れにうまく乗っています。

スイミングのように、その時間内に練習が組み込まれているわけではないからです。今日はそのあたりのお話を書いていきます。

上達するには練習が欠かせない

先日のレッスンでのこと。ある小学生の生徒さん。なかなか集中できません。ワークブックの○つけをしていると、手がちょっと荒れているところをいつまでもこすっていて「先生、血が出た!」

ばんそうこうをはって、「もう今日は、レッスンの間、はがさないでね。」とレッスンを始めました。

ピアノに座っても、なんだかもじもじしています。実際に弾いてみて、理由が分かりました。練習してこなかったのです。もちろん、○にはなりません。お迎えにきたお母さんにも、そのことを話しました。

同じ生徒さんが、その次のレッスンでは見違えるようでした。来るなり、にこにこしています。前回と全然違う様子に、「今日は練習してきたんでしょう。」と聞くと、「うん。」と自信を持って答えました。

音符を書く練習にも集中して取り組み、さっと終わりになりました。ピアノの前に座ると、「もう、弾けるもん。」ということで、3拍子のリズムにのって「バケツのあな」を弾きました。

次の「5のゆびをひこう」の練習も、さらにその次の「ふしぎなポケット」の譜読みも集中してできました。

表情そのものが前回とはまったく違い、にこにこしながら、ピアノを弾いて帰りました。

できた!という実感がもてるから楽しくなる

今、面談をしていますが、練習の様子を保護者の方から聞いていると、やはり「練習量」と楽しさには関係があります。

特に、段階が大きく変わる時、例えば、両手を交互に使っていたところから、一緒に使う時などに、それがはっきり表れてきます。

誰にとっても、その段階は最初少し難しく感じます。そういう時に、毎日練習ができると、その難しさを感じる期間が短くてすみます。

逆に、家で練習することができていないと、なかなかそのステップを上がることができず、楽しくなくなってしまうのです。

習慣化の段階は簡単なことから

最初からたくさん練習することは難しいかもしれません。これは、お子さんの性格と、ピアノへの気持ちにもよります。

ですから、最初は「ピアノの前に座って弾く」という習慣をつける段階では、簡単なことから始めていきましょう。

ピアノの前に座る。1回でも良いから弾く。

また、今ある習慣とセットにしていく、ということも習慣化するには有効です。「おやつを食べたら練習する」「学校から帰って宿題をしたら練習する」のように。

せっかく始めたピアノです。ぜひ楽しく、長く続けるためにも、「練習」をうまく日常生活の中に組み込んでいきましょう。