ピアノを楽しむ
せっかく習っているのですから、ピアノを楽しんでほしい、と思っています。「楽しむ」のもいろいろな観点があります。人間は「自分の成長を実感できたとき楽しいと感じる」のだそうです。それも1つです。
自分の好きなジャンルの音楽を弾いてみる、これも楽しさの1つだと思います。特に、大人の趣味の方などはそうですね。
私はクラシックが専門なので、ポピュラー音楽は詳しくはありませんが、生徒さんたちが「弾きたい」と思う曲に触れ、一緒に楽しんでいきたい、という思いがあります。
好きな曲、探してみます
中学3年生の生徒さん。去年から「気分転換に練習して、ピアノが弾けるようになりたい」とのことで来ています。
弾きたい曲がポピュラー曲だったので、教本で新しいリズム、和音にも慣れていけるように、と「ピアノランド」を選び、3巻に入りました。
忙しい日々ですが、勉強の合間に気分転換に練習しているそうで、両手で弾くことにもずいぶん慣れて、スムーズに弾けるようになってきました。
ふとしたタイミングで「教本がどれくらいまで進んだら、好きな曲が弾けるようになりますか?」と質問がありました。
「今でも、曲によっては弾けるものがありますよ。」ということで、いくつか、たとえばこれというように、手元に楽譜があるディズニーやジブリの曲を例に挙げてみました。
ただ、中学校3年生男子には、ちょっと「子供っぽい」かもしれません。どうやら自分なりに弾きたいと思う曲があるらしい。
「これくらいの感じ。右手がこうで、左手の動きの少ないものなら弾けるよ。」と言うと、「探してみます!」と言っていました。
デジタルネイティブ世代ですから、きっと私よりも上手に検索し、自分にとって魅力的な曲を探し出してくるでしょう。どんな曲を持ってくるのか、私自身もそれが楽しみでもあります。
連弾、伴奏がつくときれいですね
もうお一人は、大人の方です。発表会も「出てみます」ということで、今回は連弾での参加です。
ちょっとおもしろい連弾曲を見つけ、それを弾くことにしました。「きらきらぼし」と「パッヘルベルのカノン」を組み合わせてあります。
生徒さんが弾くのは主に「きらきらぼし」。そこにセコンドパートの私が、パッヘルベルのカノンを入れていく、という感じです。
前回のレッスンで、合わせてみました。細かい音符が入ると、だいぶ雰囲気が変わってきます。
終わって「伴奏がつくときれいですね。雰囲気がずいぶん違います。」と言っていました。
これも、「レッスンに来て弾いているから」こその楽しい体験です。
いろいろな楽しみ方がある
音楽にはいろいろな楽しみ方があります。聴くこともとても楽しい。ただ、自分で能動的に関わるとまた違う楽しさが見えてきます。
ピアノが弾けて、自分で実際に音が出せると聴き方も変わってきます。作曲者や演奏者の細かい工夫に、より気づきやすくなり、今までよりも深く味わえるようになることもあります。
一人ひとりの生徒さんの「楽しさ」に寄り添い、その幅を広げていく。レッスンを通してそのお手伝いができたら、それほどうれしいことはありません。