趣味でピアノを弾くからこそ、音色にこだわってほしい
こんにちは。
昨日は、忙しい方が、少ないピアノ練習時間をうまく使うための工夫ということで書きました。
関連して、今日は、「趣味でピアノを弾くからこそ、音色にこだわってほしい」と思うので、それについて書いていきます。
忙しい方が陥りやすいループ
私自身のことを少し、例にあげてみます。
私は、「教育学部音楽科」の出身ですが、中学校現場で「国語科」の教員として長く働きました。
ですから、その期間について言えば、ピアノは「趣味」に近く、少ない時間をやりくりしつつ練習していました。
その頃は、「弾けるようになる(音を間違えずに並べられるようになる)」という段階がまずあって、次に「曲の解釈」「曲想をつける」て「表現する」という段階になる、と大きく言うと2段階にとらえていたように思います。
仕事をしながら、少ない時間をやりくりしていると、昨日書いたような工夫をいくらしても、なかなか第1段階である「弾けるようになる」というところがクリアできません。
いつまでも弾けない→自分らしい曲想をつけて「表現する」ことができない→レッスンに行きづらくなる→弾けたらレッスンに行こうと考える→次のレッスンが決まっていないので練習が後回しになる→さらに弾けない
という困ったループにはまってしまいがちです。
私だけでなく、同じようなループにはまってしまった方を、何人も知っているので、ありがちなことなのです。
音色にこだわると、過程がより楽しめるようになります
今の奏法で音色にこだわり、響きにこだわるようになってから、感覚が変わりました。
常に、すべてが一つのまとまりとして感じられるようになるのです。
たとえ8小節であっても、弾きながらその8小節の音楽を細かく感じることができる。
忙しくて練習がなかなかできなくても、8小節なら、何とかなります。
そしてその8小節の中に、自分なりのイメージ、表現を反映させていくことができます。
実際、「今日は、これしか弾けません。」と言って、1ページだけしかレッスンに持っていかなかったこともありました。
それでも、その中で音の出し方、響かせ方、学ぶべきものがたくさんあったり、自分自身の進歩が実感できたりしました。
小さい単位であっても、その中に大きな広がりがあり自分らしさを「表現」していくことができる。
過程をより楽しむことができるのです。
極端な話、1音でも良いのです
時々は、1音の出し方だけで、かなりの長時間レッスンしていただいたこともあります。
その大切な1音。
どう響かせ、どんな音がほしいのか。
そのためには、身体をどう使い、指や手をどう動かしていったら良いのか。
先生の響きを聞きながら、自分の耳で、今度は自分の音を聞いていく。
その繰り返しをしていきます。
これも、とても貴重な時間であり、貴重なレッスンなのです。
何よりも楽しむこと、続けることが大切
1音でも良い、となると、ずいぶんハードルが下がるのではないでしょうか。
ピアノの前に座り、集中して音を出す時間を、少しでも持つこと。
忙しい生活を送っているからこそ、その時間が楽しいものであってほしい、そして楽しいからこそ続けられる、そう思うのです。