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年長さんの成長を実感

こんにちは。

小さいお子さんの成長というのは本当に目をみはるものがありますね。

昨日レッスンした保育園年長の生徒さん。もうじき1年生になります。

去年の暮れにたった1週間でぐんと成長したと感じた時がありました。それまでと比べ、落ち着いて話が聞ける時間が長くなり、集中力が高まったと感じたのです。

付き添いでいらっしゃったお母様に「とってもお姉ちゃんになりましたね。先週と全然違います。」とお話ししたところ、「就学時健診があったからかな。」とおっしゃっていました。

その後も、お姉ちゃんぶりはますます進化。ごあいさつも、「お邪魔します。」など、大人びたバリエーションを覚えて、言えるようになり、時々こちらがぴっくりすることもありました。

ピアノの面で大きいのは、注意すべきポイントを私が言った時に、本人の中にそれが入っていく感じがこちらにも伝わるようになってきたことです。

以前は、手の形や音の出し方について話しても、本当にその場で終わってしまい、2回くり返すと、2回目には元に戻ってしまうことがよくありました。

でも、昨日は指の付け根の関節を指して、「ここのぐりぐりが出るように弾いてね。」と話したあとに弾いたとき、「ここのぐりぐりがでるように弾けた。」と言ったのです。自分で課題意識を持って弾き、それを自己評価できるようになったのだなあ、とうれしくなりました。

間違えてしまった所の練習も、できるまで何回もくり返して頑張りました。

ピアノの個人レッスンの良さは、一人一人の成長に合わせてきめ細かく見られるところにあります。生徒さんの成長する様子を、お家の方と一緒に見ることができて、本当に幸せに思いました。

2018.01.05

一見、ゆっくりに見えても

こんにちは。

昨日から2018年、今年のレッスンが始まりました。

冬休みでお出かけしている生徒さんもいるので、通常モードにはまだなっていませんが、レッスン室にはお子さんのピアノの音が聞こえ始めています。

昨日、レッスンに来た小学校高学年の初心者の生徒さん、今まで中指1本だけ使っていたのですが、12月の最後のレッスンで、同じ曲を人差し指1本でと薬指1本で練習するように、宿題を出していました。

弾いているところを見ていますと、中指はずっとやっていたので、支えの感覚がつかめてきている感じがします。

人差し指と薬指は、まだちょっとぎこちない感じでした。本人も「中指は弾きやすいけど、他の指はまだ弾きにくい。」と言っていました。

「中指で弾く時と同じイメージを持って。」と言って、さらに具体的に何点かアドバイスすると、すぐに変わってきました。同時に音も柔らかくなってきました。

 

現在私が学んでいる、そしてレッスンで教えている奏法では、指の第2関節から下と、手のひらの内側の指の付け根に近い部分の支えがとても重要です。

初心者の方にそれをわかっていただくために、最初は、中指1本で練習していただいています。これは、日本の大手楽譜出版社から出版されているロシア奏法の教則本の導入部分にも共通しています。

中指を使って、ある程度感覚がつかめてから、人差し指と薬指。5本全部使うのはその後になります。

私の場合、まず中指だけにするのには、もう一つ理由があります。

お子さんの場合、音符を読まずに指番号だけ見て、3の指はミ、2の指はレと弾いている場合があるのです。全部同じ指では、音符を読まなければ弾けません。

 

先ほどの生徒さん、とても譜読みに慣れるのが早くて、1ヶ月半で、ト音記号・ヘ音記号ともに、今の教材に出てくる音符をすらすら読めるようになっています。

ですから、単に5本の指を使って音を出していく、というだけなら、もっともっと進度は速くなります。

でも、後々のことも考えて、より美しい音で、より楽に弾けるようになるために、今の進度はゆっくりでも、手の使い方を学び、音の出し方を練習していきましょう、と付き添いでいらっしゃった保護者の方にもお話ししました。

2018.01.04

ピアノを置く環境

こんにちは。

今日は仕事始めですね。

ここのところ、晴天が続き、空気が乾燥しているので、除湿機も止まっていることが多いです。たまに加湿器が動いていたりします。

今のレッスン室、ピアノのある部屋に除湿機を置くようになって3年になります。

実は、それまであまりピアノを置く環境について気にかけていなかったのですが、3年前は夏の終わりに調律していただきました。それから1ヶ月たち、台風が来たり、秋の長雨があったりと湿度の高い日が続きました。

すると、何だか雑音が混ざる気がするのです。金属的な音というか、何か違う音が聞こえてきます。日によっても違いますし、最初は大丈夫と思って弾き始めても1時間くらいたつと聞こえてくるというように、1日の中でも聞こえるタイミングは違ってきます。

とうとう調律師さんにもう一度来ていただきました。フェルトが弦をたたく部分は本当にまっすぐの状態ではないので、そういう雑音が混ざる場合があるとのこと。ただ、それを完全になくすことはできないし、なくそうとするとまた別の不具合が出てしまうとのことで、丁寧に調整し直していただきました。

ただ、調律師さんとの日程を合わせ、待っている間にピアノの置いてある環境について、もう一度意識してみました。まず温湿度計を買って、ピアノの横に置いてみました。

驚いたことに湿度が70%を超えることがたびたびあります。場合によると80%とか。驚いてあわてて除湿機を買って、部屋の隅に置くようにしました。

これは湿度50%に設定し、それを超えると自動で動いてくれます。実際に使ってみると、キッチンでお湯を沸かすだけで、すぐ運転し始める状態でした。

おかげで、それ以来はトラブルはなくなりましたが、ピアノを置く環境にはもっと気を遣うべきだったと反省しました。

リビングにピアノを置いているご家庭も多いかと思います。一度温度湿度を測ってみてはいかがでしょうか。

2018.01.03

より音を響かせるための身体の使い方

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

前回レッスンに行った時に、先生が最近気づいたことを2点、教えていただきました。

そのうちの一つ「指の付け根の筋肉と、手のひらの筋肉を寄せる」は、意識しやすかったのですが、もう一つの「手首の下から脇まで1本の線が通っている感じ」は、言葉は理解できたものの、体感的にあまりはっきりは分かりませんでした。

昨日、弾きながら、いろいろ試しているうちに、ふと「こんな感じかな?」とつかめてきました。

この奏法だと、基本的にひじは身体に近い位置、そして、手はピアノの鍵盤に対して逆ハの字に構えます。

それは分かっていたつもりでしたが、「手首の下から脇まで1本の線が通っている感じ」を意識すると、今までよりももっとひじが身体に近づきます。逆ハの字の手の形も、今までよりももう少し外側を向きます。

その体勢で連続した音を弾くためには、手首をかなり柔軟に使う必要があるということも分かりました。

同時に、肩からあるいはひじからの重みが今までよりもかかっていきますから、音をコントロールするために、手のひらの内側の支えをさらにしっかりさせていく必要があります。

実際に音を出してみると、響きが上にもあがりますが、ピアノの鍵盤の下にも広がる感じがします。レッスンの時にもある程度はわかりましたが、昨日のほうが自分でも、もっとよくわかりました。

上にあがっていく軽い明るい響きと、上にあがると同時に下にも広がる深い響き。鍵盤のどこをねらうかによって音は変わってきます。

モーツァルトの変奏曲を弾くときに、変奏によって、あるいは一つの変奏の中でも、部分によって、もっとはっきりと聴き手にも伝わるように弾き分けをしていくことが課題ですが、昨日は少し前に進んだ気がしました。

変奏曲のほうは、大分長く弾いているので、実験するには分かりやすくて良い状態です。同時に練習中のピアノソナタ18番はまだまだなので、なかなかそこまでいっていません。そちらのほうがフレーズごとの音の変化をつけていくための良い教材になりそうです。

自分の音が変わっていく、より響くようになっていくことで、音楽のとらえ方も大きく変わっていきます。また一つそれを実感して楽しくなってきました。

2018.01.02

歌声とピアノの音色

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

ロシアのピアニズムは、「歌う」ということをとても大切にします。メジューエワの本にも、よく出て来ました。

ピアノでも「歌う」、という言葉。

 

紆余曲折を経て、私がロシアピアニズムに魅力を感じるのは、私が声楽、特にオペラが好きだからかもしれません。

 

これは、最初にオペラを見たときの体験が大きいです。

私が実際にオペラの舞台を初めて見たのは、大学1年生の時。ミラノのスカラ座の引っ越し公演。フレー二がミミを歌う「ボエーム」でした。まだ、字幕もない頃で、行く前に何度も何度もレコードを聴き、対訳とボーカルスコアを見比べ、時に訳を楽譜に書き込んで、一生懸命予習をして行きました。

もう、その舞台のすばらしいこと。ロドルフォたちの住むアパルトマンのわびしさと、クリスマスの広場の豪華さ。一転して3幕の別れの場面のシンプルな美しさ。

歌手たちの声の美しさ。演奏のすばらしさ。もう、とにかく圧倒され、本当に感動し、世の中にこんな美しい、すばらしいものがあるのかと思いました。

特にフレー二の歌声は圧巻でした。特に弱音には、こんな小さい音がどうしてここまで(5階一番はじの学生席でしたから)聞こえるのだろう?という思いでいっぱいでした。しかも、その弱音のなかに表情がありました。

あれほどの感動は、人生の中でもそうはない、というくらいのものでした。今でも、私にとって一番好きなオペラは、やっぱりボエームなのです。

 

弱音でも届くというのはピアノも同じで、響く音であれば、弱い音でも通るのです。

そのことを学んだのは、今の奏法に変えてからでした。

最初の頃、よく「もっと小さい音で。」と先生から言われていました。「今くらいの音でも、十分客席の後ろまで届くから。」とも。

ピアノではあっても、フレー二のミミのあの歌声、あの表現のイメージに少しでも近づきたい、一つの遠い目標ではあります。

 

 

2018.01.01

今年もどうぞよろしくお願いします。

新しい年になりました!今年もどうぞよろしくお願いします。

新年というと、「今年の抱負」を表明することが多いのですが、(中学校で教えていたときにも、やりました)私のピアノに関する新年の抱負を書いてみようと思います。

最初は「抱負」と思って書き始めたのですが、読み返してみたら、夢のようなものもあったり、今やっている延長のもので目新しくはなかったり。いろいろになっています。

レッスンノートの最初に「どうなりたい?」ということを書くページがあるのですが、それと同じですね。たくさん書いて、今の段階では「夢」であっても、少しずつ近づいていけると思うので、あまりこだわらずに書いていきます。

【ピアノ教室として】

・生徒さんの音楽面・技術面両方の向上をめざして、さらに指導力を磨いていく。

・発表し合う場を設ける。少人数でも、可能な範囲でやってみようと考えています。

・また、新たな出会いがたくさんできる。生徒さん同士の交流も、何かの形で少しずつ持てるといいな、と思います。

・この奏法の特長を中心に、ブログ等を通してさらに発信していく。

・動画をアップし、実際の音を通しても発信していく。

【自分自身のこと】

・手の内側・指の付け根の筋力をもっとつけて、さらに響く音を作る。

・質の違う響き、音色を増やしていく。

・4月の葵の会定期演奏会に向けて、モーツァルトの変奏曲の練習をしていく。

・あわせてモーツァルトのソナタを仕上げていく。5月以降は、他の作曲家の作品にも取り組んでいく。

・9月に予定されている先生の発表会に参加する。

・Ray Lev先生の楽譜の中から、バロック期のものを中心に取り組んでいく。これを動画にしたいと考えています。

実は、2011年のお正月に、私は、自分の将来について考えて、ノートに書いていきました。その中には、ピアノ教室開設もありました。

その時、実現はずっと先になると思っていたのですが、何だかいろいろな状況から、私の想定よりも早く物事が進んでいます。書いてみると、自分の思いが明確になって良いのかもしれませんね。

個人的な思いを書いてしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

2017.12.31

2017年を振り返る

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

今日、12月31日で2017年は終わりです。私にとって、大きな変化、節目の年となりました。

ピアノ教室を立ち上げると決意した4月。6月7月で家のリフォーム・駐車場の工事をしました。合わせて、レッスンのメニューを考え、モニターレッスンをお願いし、8月後半にホームページの作成。

ようやく9月に開室にこぎつけました。少しずつ、お問い合わせいただけるようになり、現在、生徒さんは4歳から75歳まで、7名になりました。

かわいい生徒さんと、それを支えていらっしゃるすてきな保護者の方達。大人の生徒さんも、それぞれ魅力的な、そして前向きな方達ばかりです。

 

私にとって「教える」ということは、とても楽しいことです。

どうお話ししたら、自分の持っているものが伝わるかな?どういう教材を作れば、小さいお子さんに伝わりやすいかな?

それを考えて工夫し、実際に生徒さんができるようになったり、分かったりする様子を見ることができる。それ自体がとてもうれしく思われるのです。

ピアノ教室は、個人レッスンなので、一人一人の状況に柔軟に対応できます。それぞれの個性に応じて、それぞれの状況に応じて、長期の目標とそれにつながる中期の目標、そして今やっていることの先にある短期の到達点を設定していけます。

その一人一人に寄り添って、伴走していくのが、ピアノ講師の役割なのだと思います。

 

また、教えるという観点で自分のテクニックを見直す、という経験を通して自分自身の演奏・響きも変わってきました。教えるためには、自分のしていることを、可能な限り細かく分析し、無意識で行っている部分をできるだけ意識化するプロセスが必要だからです。

素晴らしい調律師さんとの出会いもありました。おかげさまで、レッスン室のピアノは、スタインウェイをイメージしたタッチに調整していただけています。

「同じにはならないんですけど」と調律師さんはおっしゃっていましたが、かなり近くなっています。響きが上にあがり、ちょっとしたタッチの変化が、音色に反映するようになっています。

 

個人的には、11月に父を亡くし、つい先日四十九日法要と納骨。年内に一つの区切りを迎えました。

振り返ってみれば、8年前、母を亡くしたときに、自分の人生の最後の時間をどう過ごすか?という問いが自分の中に生まれ、「ピアノをやり残している!」という思いから現在につながる奏法への模索が始まりました。

その成果であるピアノ教室を立ち上げた今年に、父が亡くなったことも、何か意味があるようにも思えます。ピアノそのものが両親が私に残してくれたとても大きな財産だからでしょうか。

 

2017年を支えてくれた多くの方々に感謝しております。本当にありがとうございました。どうぞ皆様、良いお年をお迎えください。

2017.12.30

古典の暗唱をしてみませんか

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

生徒さんではありませんが、知り合いの中学生が「外郎売り」を暗唱して聞かせてくれました。

アナウンサーや役者さんがそれを練習するという話は、聞いたことはあるけれども、実際にそれを暗唱できる人は知らなかったので、「ちょっとやってみて。」というと、「全部は言えない」と言いながらも最初のくだりを言ってくれました。

以前バレエを習っていて、そのバレエ教室で教わり、小学校3年生の頃覚え、その後また6年生でさらったそうです。

また以前に、ニュージーランドで高校生活を送った人と話をしたところ、あちらでは、「とにかくシェークスピア」とのこと。戯曲の一部をかなり暗唱させられたそうです。

日本の学校教育ではどうでしょうか。私も中学校で古典を教えていたときには、1年生で竹取物語を、2年生では、枕草子、平家物語、徒然草、3年生では奥の細道、とそれぞれの冒頭部分を課題として暗唱させましたが、本当は冒頭だけでなくて、もっと内容も覚えるようにしていけば良かったのかもしれません。

学校によっては、百人一首を暗唱させた時もありました。

暗唱することによって、リズム感が身体で分かります。ある程度は内容も理解しないと、どこで区切るかもわかりません。ですから、暗唱というのは、それを自分の中にしっかりと入れていくために有効な手立てだと思っています。

特に、小さいうちは無理をしなくても、遊び感覚でどんどん覚えられますから、いろいろな古典の一節などを暗唱すると、日本語の引き出しが増えて良いのではないでしょうか。

私自身は、小学校2年生からお正月に、家族で百人一首をしたので、それでだいぶ覚えました。おかげで、高校に入ってからの課題であった百人一首の暗記も、教員になってからの百人一首大会の読み手も、苦にならず、助かりました。

これからお正月。遊んでいるうちに古典に親しめる百人一首、家族で楽しんではいかがでしょうか。

記憶力アップにつながり、ピアノにも良い影響があると思います。

2017.12.29

ペダリングを研究中

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

今、ペダリングをいろいろ研究中です。

「ペダルは耳で踏む」と教わってきましたが、これがなかなか難しい。

左のペダルの使い方も課題ですが(特にだんだん離していくという細かい足の動きがまだまだ)、右のペダルの使い方も、工夫の余地がたくさんあって、いろいろ試しています。

モーツァルトの場合、踏みすぎてしまうと何か違う?という感じになることが多々ありますし、かと言って全く踏まないとこれも違う、ということが多く、どのくらいの深さで踏むと、自分のイメージの音が出るのか、どのタイミングで踏みかえたらいいのか、ということを試行錯誤しています。

合わせて、変奏曲の場合、各変奏ごとのイメージを作っていく上で、軽やかな変奏、歌い上げる変奏などによって、指のタッチとペダルの組み合わせも工夫するところがたくさんあります。

 

一方で、今、大学時代の先生から借りたRay Lev先生の楽譜にも取り組んでいます。バロックから近代までの曲を選んで曲集になっているのですが、私は特に古い時代のものに魅力を感じて練習し始めているところです。

例えば、Martin Peerson(1580-1650) のThe Fall Of The Leafe(落ち葉)や、 Johann Matheson(1681-1722)の Sarabande With Three Variations (サラバンデと3つの変奏曲)など。

もとは、チェンバロのための曲を選び、Lev先生が強弱・ペダルを付けているのですが、このペダリングが難しい。

もちろん、最後は自分でペダルも決めるのが本当だとは思うのですが、Lev先生の感じているイメージを私も勉強して取り入れていこくために、まずは楽譜通りにすべてやってみようと考えました。

今まで拍の頭で踏むことが多かったので、この楽譜の中にある、八分休符のあとの八分音符に合わせてペダルを踏む感覚を難しいと感じてしまうのです。

いかに、「耳で踏む」といっても、自分のペダルの使い方が不十分だったかを痛感しつつ、深さ、タイミングなどなど、「耳」に意識を置きながら足を動かし、練習しています。

2017.12.28

曲のイメージを作る

こんにちは。たうらピアノ教室の田浦雅子です。

この年末年始は、少し時間の余裕がありそうです。

これから、来年のレッスン開始までの2週間、できるだけ自分の勉強の時間を増やしていきたいと考え、先日のメジューエワの本を読み進めています。

ベートーヴェンの章を読んでいくと、曲へのアプローチの仕方として、次のようなことが書かれていました。少し長いのですが、引用します。

ベートーヴェンが頭の中でどのような音色を聞いていたのか、どのような響きを求めていたのか、それは誰にもわかりません。想像するしかない。

ベートーヴェンの作品に限らず、一般的な話になりますが、ロシアでは伝統的に、作品のイメージや物語性のようなものからのアプローチを大切にしています。

例えば、このソナタのこの部分はこういうし、こういう文学作品のイメージですとか、具体的な言葉を使ってイメージするんですね。あるいは絵画などの視覚的なものからの連想。

そういうコンセプトを大事にするのがロシアの伝統です。とにかく想像力というものをフルに使う。

(ピアノの名曲  聴きどころ 弾きどころ イリーナ・メジューエワ 講談社現代新書 p87)

同様なことを、先日、松田華音さんが、チャイコフスキーのピアノ協奏曲について「チャイコフスキーのオペラの場面を想像しながら弾く」とインタビューに答えているのを見ました。

日本ではこういうイメージ作りというのは、今までは、あまりしなかったかもしれません。(最近は、こういうイメージ作りをしているメソッドもでてきていますが)でも、この感覚は、とても大切だと思います。

モーツァルトの作品でも、ピアノソナタの中で、この部分は「フィガロの結婚」のあの場面のイメージ、この部分は「コシ・ファン・トゥッテ」のあの場面のイメージ、と感じて弾くと、イメージが具体化していくことが実感できました。

もっとも、この後に出てくるのが、ベートーヴェンのピアノソナタ第32番の第2楽章について、マリア・ユーディナがダンテの「神曲」第33歌を引用して解説している…と続くと、日本人の私としては、かなりハードルの高さを感じてしまいますが。

ただ、ピアノを学ぶ、西洋音楽を学んでいく、ということは、ピアノの弾き方だけではなく、その背後にある文化も含めて出来るだけ吸収しようとしていくこと。それから、当然のことながら、文化的背景をヨーロッパの人と同じように理解することは不可能であり、でも一方で日本人ならではの感性も持っている、それを生かしながら一曲一曲と向き合っていくこと。

丁寧に曲と向き合う「姿勢」を持っていきたい、この本を読みながら、そんなことを考えました。