ブログ

2019.04.08

伴奏の難しさと楽しさ

昨日は、間近に迫った葵の会の定期演奏会のリハーサルでした。今回、私は作品発表の演奏と、「フィガロの結婚」から序曲の演奏とアリア・二重唱・合唱の伴奏です。

音量をコントロールする難しさ

伴奏もしばらくぶりなので、いろいろな意味で勉強になります。昨日のリハーサルでは、音量の確認をすることが重要な目的の一つになっていました。

伴奏のピアノの音量が大きすぎて、歌を邪魔してはいけませんし、かといって小さすぎると音楽そのものが縮こまって聴こえてしまいます。

自分の耳の感覚を使って、歌う人と自分の音量を捉えていくことが大切になってきます。

昨日の場合、前半の「魔笛」が終わった段階で、半開だったピアノの蓋を全部開けてみようということになりましたので、音量はよけいに気を使いました。

歌う人の立ち位置、ピアノを置く位置によって聴こえ方は大きく変わる

実際に弾いてみると、歌う人の立つ位置によっても、聴こえ方が大きく変わることがわかりました。リハーサル後に、ピアノの位置を動かし、歌う人もステージ上を動きながら歌って、一番良い位置を探りました。

歌とピアノの混ざった音を捉えやすい位置と、歌の声がわかりにくくなる位置があるということがよく分かりました。私にとってはある程度ピアノに近いところで歌ってもらえるとよく分かります。

ただ、歌う人によっては、ピアノにあまり近いと、ピアノの音量を意識しすぎて力んでしまうので離れたいという人もいました。このあたりも人によって感覚がずいぶん違います。

聴いていた方の話では、音量は大丈夫だったとのこと。また、録音を聴いてみる限りでも、特に違和感がなかったので、ほっとしました。

ともに音楽を作り上げていく楽しさ

先日のムーティのリハーサルで「オーケストラは『伴奏』ではありません。ともに音楽を作り上げていくのです。」という言葉がありました。

ピアノであっても、意識はそうありたいと思っています。「伴」奏という気持ちではなく、ともに音楽を作り上げていく感覚。

本番のステージの上で、歌う人が自分の一番良い歌を披露でき、私もともに一つの音楽を作りあげることができた状態。

それを理想として頭に置きながら、あと一週間、練習をしていきます。

年中さんのレッスン―成長に合わせて楽しく

4月から入会した、保育園年中の生徒さんのレッスンが始まりました。体験レッスンでも、いろいろなことをやって、ピアノが弾けることも楽しみにして来てくれました。

年少さん、年中さんくらいの小さいお子さんの場合は特に、できることを中心に楽しく、と考えています。年齢とともに、できることがどんどん増えていきますから、成長を待つということがとても大切です。

何回か練習するとできるようになっていく

先日のレッスンでは、まず、へ音記号のドを書くところから。線と線の間に○を書く。これも意外に難しいのですね。

最初は、○が閉じなかったり、最後にくっついたと思ったら、○の中にぐるぐると鉛筆で線を書いたり、だったのですが、いくつか練習しているうちに、きれいな○が書けるようになりました。

次にト音記号のド。こちらは線を真ん中に書くので、もう少し難しい。こちらも、いくつか書いているうちに上手になってきました。

やはり、最初は難しくても、書いているうちに慣れてきます。だからこそ、実際にやってみるということが必要なのですね。

ピアノの前に座ってドの音を弾く

ピアノに座る前に、「この間先生が言ったこと、覚えている?座る時に、触らないお約束をした場所があったでしょう?」と聞くと、ふたを指さして「ここ」と答えました。

ちゃんと覚えていました。そしてふたに触らないようにして椅子に座ると、すぐ真ん中のマークを指さして、「こことおへそを合わせる。」と自分で言いました。

これも、前回、体験レッスンのときのことをしっかり覚えていたのです。小さいお子さんが覚えよう、と思った時の、集中力、記憶力は、ほんとうにすごいです。

ヘ音記号の「ドの音」を探して、3の指で弾いてみました。左手をぶらぶらさせて、形を作って弾いていきます。

「どのおと」と言いながら4拍分伸ばします。次に、音楽をかけて音楽に合わせて弾いてみました。リズムにのって4拍。弾けました。

次に右手で、ト音記号のドの音を弾いていきます。こちらもできました。

一人ひとりの成長に合わせていく

これは、個人レッスンのピアノ教室ならではの良さです。一人ひとりに合わせてレッスンしていくので、その生徒さんの成長、個性をよく見て、オーダーメイドのレッスンができます。

私の場合には、公立中学校で教えていたので、一人ひとりの違いにどれくらいの幅があるのか、実感としてよくわかります。ある一人に合うことが万人に合うとは限らないのです。

レッスンが終わって、にこにこしていた年中さんの顔を見ながら、小さいお子さんの成長の場に立ち会わせてもらえる幸せを実感しました。

これからのレッスンが楽しみです。

自分で納得のいくように練習する

自分の納得のいくように練習できるかどうか、というのはとても大切なことです。自分の中に基準があるかどうか、ということにつながってきます。

基準を自分で作る

新小学校1年生になる生徒さんの「ゴセックのガボット」(ピアノひけるよ!シニア)をレッスンしました。

スタッカートも軽やかに、とても上手に弾いていました。

「とてもすてきに弾けたね。」というと「家で練習していた時は、いっぱい間違えて、違う音をたくさん弾いていたんだけど…。」とのこと。

「それで、今日はたくさん練習してから来たの?」と聞くと、「そう。」とのこと。

自分なりに、まず「音符通り間違わずに弾けるようになりたい」という基準ができ、それに向かって練習してきたのでしょう。

自分の中に仕上がりのイメージをもつ

別の小学生の生徒さん、ディズニー映画「リトル・マーメイド」の中の「パート・オブ・ユア・ワールド」を練習中です。

この生徒さんも、音符が読めるようになって、自分で弾ける力がどんどんついてきました。

最後の仕上げの段階で、「こんなふうに弾いてみたら、より美しくなるよ。」ということで、話しながら、いくつか弾き方を変えて、私が弾いてみました。

「ああ、そうか!」ということで、生徒さん自身が、自分なりに少し工夫を加えていくと、また、曲の印象が大きく変わりました。

自分の中に仕上がりのイメージができてくると、音楽も大きく変わります。

「やりたい」という気持ちが大切

大切なのは、やはり「こう弾きたい」という本人の思いでしょう。

そのスタートになる部分を作る最初のうちは、練習回数を示して弾けるようになる体験を増やしていったり、弾き方の例を示したり、ということも必要になってきます。

最初は、先生やお家の人から与えられた部分は大きいかもしれません。でも、成長するにつれて、それがはっきりとお子さん本人のものになっていくのです。

2019.04.05

弁天沼(鳴かずの池)の桜

昨日はとても気持ちの良いお天気だったので、久しぶりに自転車に乗ってきました。

行き先は岩殿。あまりこの方向には行かないのですが、ふと、そういえば岩殿観音の本来の参道はこちらだったはず、と思い出して行ってみたところ、池と桜と山の緑が美しく、参道までは行かずに、この「鳴かずの池」の写真を撮って帰ってきました。

高坂には、有名な「坂上田村麻呂の悪竜退治」の伝説があります。高坂小学校の校歌の1番「昔悪竜退治して功立てたる将軍が…」と歌われています。

その時、退治された悪竜の首を置いたために、カエルが怖がって住みつかないから「鳴かずの池」と言われているのだそうです。

池の中にある瓦屋根の建物が、弁天堂。中には石の弁財天が安置してありました。これは新しく見えました。

池の手前の斜面に板碑がありました。梵字が刻まれています。1368年に建てられたとのことで、意外に古いものだったので、ちょっと驚きました。

もっとも、このあたりは、 岩殿山正法寺も比企氏と源頼朝と関係がありますし、平安時代末期から鎌倉時代に活躍した多くの人物と関係の深い土地柄でもあるのでしょう。  

考えてみたら、ピアノ教室のすぐ近くには「鎌倉街道」もあるし、高坂駅東側には秩父氏の一族であるという高坂氏の館跡もあります。

自転車でちょっと出かけただけで、こんなに歴史を感じさせる事物がたくさんある場所に住んでいることにも、驚くとともに、うれしさを感じました。

2019.04.04

ムーティの「リゴレット」リハーサルを聴講してきました

昨日は、上野の東京芸大で今行われている、リッカルド・ムーティ「イタリア・オペラ・アカデミーin東京」のリハーサルを聴講してきました。

午後からレッスンがあったのですが、知った時期が遅く、この日しか空いていませんでした。午後からレッスンなので、1日聴講券なのに、午前中のみで帰ってきたのは残念でしたが、それでも、「行ってよかった!」と心から思いました。

慌てて帰ってきたので、写真がないのですが、上野は桜もきれいでした。

作りたい音楽のイメージが明確

もちろん、出来上がった音楽を聴いてもそれはよく分かることであり、当然のことでもあります。

確かに、オーケストラのたくさんの楽器とそれを演奏する人すべてを一つにまとめ上げていくわけですから、自分の頭の中にはっきりとしたイメージが描けていないとそれができるはずもありません。

でも、実際にリハーサルを聴いていると、いかに細かい部分まで、音楽のイメージが明確に意識できているかが、伝わってきて、まずそのことに「すごい!」としか言いようのない思い出した。

例を挙げると、歌手の発音の一つ一つ、すべての楽器の音色、音の出るタイミング、音の長さ、同じ1拍をどう感じていくのか。書ききれないほど、まだまだたくさんありました。

そういう細かい部分が集まって、フレーズとなり、そのフレーズが集まって曲になり音楽になっていく。

細かいところまではっきりとイメージができているからこそ、美しい音楽の流れができているのだということ、何かをおろそかにしてはいけないのだということ、それがよく分かりました。

その背景に、ムーティのオペラに対する考え方・ヴェルディに対する考え方があるのは言うまでもありません。ものすごい量の楽譜を読み込み、文献にあたり、その結果として今、そこにある1フレーズの表現が明確になっている、その厚みが直に伝わってくる感じでした。

伝える力の素晴らしさ

そのイメージを伝える力の素晴らしさも感動するほどでした。さまざまな比喩表現の巧みさ。歌を歌い、リズムを取り、具体的に「こうではなくてこう」と示していきます。

私でもわかるくらい、その対比がはっきりしていましたし、「蛇のように」と言われると、その音形の持つイメージがよりはっきり分かりました。

時にユーモアをまじえ、時に厳しい言葉が出ることもあります。18世紀の歌手の話が例にあがってきたこともありました。

そういう指摘を受け、オーケストラの演奏も、歌手の演奏も変わっていきます。楽譜に書き込む時間もない中で、それを自分のものにしていかなくてはならないオーケストラの人たち。これもまたすごい、と思いました。

それにしても音楽はすばらしい

改めて、「音楽はすばらしい」と思います。歌手の方たちはいろいろな国から来ています。オーケストラは今回、特別に編成された日本人によるもの。イタリア人の指揮者のもと、一つの音楽を作り上げていきます。

聴いている私達にとって、イタリア語はなじみのない言語。それでも、歌を通して、音楽を通して「何か」が心に直接伝わってきます。

もともとオペラが大好きで、だからこそ今回「絶対に行きたい」と思って行ってきました。結果として、ほんとうに素晴らしい時間となり、とても多くの学びを得ることができました。

今度は、それを自分の音楽に、演奏に生かしていく番です。昨日の感動を胸に、また練習していきましょう。

2019.04.02

意識することと響き

昨日は先生のところにレッスンに行ってきました。セミナーも終わり、ようやく日常を取り戻すことができたとほっとしていらっしゃいました。本の出版以降、雑誌の取材やセミナーの準備などでとても慌ただしい日々だったのだそうです。

昨日のレッスンでも、いろいろ気づいたことがあり、とても学ぶところの多い時間になりました。

タッチを変えることを意識しつつもとらわれすぎない

昨日もフランス組曲です。タッチを変えながら弾くことを意識し始めるときりがありません。

家での練習の時も、いろいろなタッチを使って試行錯誤しながら、ここはこうしようか、ここはこっちのタッチのほうが良いかもしれない、など考えながら弾いていました。

昨日のレッスンでも、最初は一つずつのタッチのことを意識できる、ゆっくりしたテンポでアルマンドを弾きました。

その後、「少しテンポを上げてみましょう。」ということで、本来のテンポで弾いてみました。

2回、テンポを変えて弾いてみたことで、私自身が一つ一つのタッチを変えることにとらわれすぎていたことが分かりました。

ある程度の設計図を考え、音のイメージを作り、タッチを意識した練習をした上で、次の段階は音のイメージだけを頭の中に持って、一つ一つのタッチにとらわれずに流れを意識して弾いていく。

考えてみれば当たり前のことです。そうしなければ、いつまでたっても曲の持つ本来のテンポでは弾けません。

逆に、速いテンポの中でも瞬時にタッチを変えていけるくらい、手の内側の筋肉の力を強くしていくこと、 聴く力を磨いていくこと。結局、一番基本的なその部分に行き着くのです。

手の支えの意識を変えると響きが変わる

アルマンドに続くクーラントは速いテンポの曲です。こちらを速くしようとすると、何か平坦な気がしていました。

聴いていただくと、「平坦ではありませんよ。基本のタッチができているので、立体的に聴こえます。」と言っていただけて、ちょっとほっとしました。

ただ、何か自分の中でもの足りない感じがします。すると、先生が、 「少し引き上げてみたほうが良いかもしれない。」と言いながら 弾いてくださいました。

響き方が違います。「ここの左手がもう少し出ても良いかもしれませんね。」と言いながら、何小節か聴いたあと、もう一度弾いてみました。

先生の音の響きをイメージしながら、手の内側の筋肉を使って引き上げる感覚を意識して弾いてみると、やはり、さっきとはずいぶん響き方が変わりました。

引き上げながら下げる感覚

「指を鍵盤に下げて弾かなければ音は出ません。下げつつ引き上げるという相反する2つを同時にするのですから、これは実際にやってみないと分かりませんよね。」と先生も言っていましたが、本当にそのとおりです。

そのとおりです。「引き上げる」が実感できるようになるためには、手の内側の筋肉にある程度の力がついてくることが必要です。

手が空いてさえいればできる指の筋トレを地道にしていくこと。耳で聴く力を伸ばしていくこと。

当たり前のことであり、一朝一夕にはできないことですが、それを積み上げていった先に美しい響きがある、ということを改めて実感したレッスンでした。

趣味としてのピアノを楽しむ

3月最終週で、中学生以下の生徒さんの面談が終わりました。

それぞれのこの1年(途中から始めた生徒さんもたくさんいますが)の進歩・成長を、保護者の方と一緒に確認し、また次の一年、頑張ろうというお話をする良い機会になりました。

両手で弾けるようになった!

小さいお子さんが多いのですが、中学生になってからピアノを始めた生徒さんもいます。

大人の「趣味のピアノ」に近いですね。その生徒さんの場合、学校が忙しいので、レッスンも毎週ではなく、月に2回くらいのペースです。

でも、お家での練習もしっかりしてくるので、半年でピアノランド1と2の2冊が終わりました。中学校2生にもなると、知的な理解力が高いので、楽譜の読み方などはすぐに理解して覚えていったので、その柔軟性に感心していました。

生徒さん自身の1年のふり返りの中の「うれしかったこと」では、楽譜・楽語を覚えたこととともに、両手で弾けるようになったことが挙げられ、特に「頑張った」実感があったようです。

弾きたい曲を弾く段階が見えてきた

両手で弾けるようになってきたし、もう少しすると、自分の弾きたい曲が弾けるようになってくるかな、と思って、面談でちょっとそんな話をしました。

生徒さんが何曲かあげた中に、「千本桜」がありました。ちょうど去年のクリスマス会で、ボーカロイド曲を弾きたいという希望の生徒さんがいたので、初心者向けの連弾の楽譜をもっていて、その中に入っています。

「楽譜がありますよ。」ということで、見せてみると「この曲の難易度はどれくらいなんですか?」との質問。

「ピアノランドの3が半分くらいまで弾けるようになれば、これも弾けるようになります。」と言うと、うれしそうでした。

編曲を選んで初心者でも弾きたい曲を楽しむ

今は、一つの楽曲でも、さまざまな編曲で楽譜にして、それを販売しています。ですから、初心者向けに編曲してあるものを選べば、かなり弾ける曲の幅が広がります。

趣味でピアノを弾きたいと思っている方にとっては、恵まれた時代になったと言えるかもしれません。

最初の半年~1年位、両手でメロディーと伴奏が弾けるようになる段階までは、教本を中心に練習したほうが、結果的に上達が早いでしょう。

それ以降は、教本に加えて自分の弾きたい曲を積極的に楽しんでいく。そうすればピアノを弾くことの楽しさを、生活の中で味わっていくことができるようになります。

新小学校2年生のピアノ体験レッスン

昨日は、4月から小学校2年生になる女のお子さんの体験レッスンをして、ご入会を決めていただきました。

体験レッスンの内容は、年齢によっても大きく変わります。今回は、もう、左右もわかる、字も読める、数字もわかる、という小学生のお子さんなので、そこに関係することは、できるだけ少なくして、実際にピアノに触れる時間を長めに取りました。

小さいお子さんの場合には、右左の部分を右左ゲームをたくさんやって、ていねいに確認していきます。

右左ゲームとリズム打ち

まずは、右左の確認です。右左ゲーム。小学生なので、けっこう速いテンポでやりましたが、スムーズです。

ト音記号で右手、ヘ音記号で左手の練習も最初にやりました。そして、ト音記号のド、ヘ音記号のドの音符を書いて確認します。

次にボンゴを使ってリズム打ち。動物や昆虫の書いてあるカードを使います。ライオンだったら4つ。ライオン4頭だったら、4×4を同じ速さでたたく練習です。

指人形を使って手の使い方の確認をする

今回、紙の指人形を作って使ってみました。写真は、私の指なので、残念ながら、かわいくないですね。

お父さん指~赤ちゃん指までの絵と、指番号が書いてあります。このポイントは、指人形をはめることで、指の関節が曲がらないようになる、ということにあります。

ロシアピアニズムの奏法の中で、指の付け根から曲げられるようになるということは、とても大切なことです。

でも、特に小さいお子さんの場合、それが難しい場合が多いと感じていました。ですから、厚めの紙の指人形をはめることで、付け根から曲げる練習になると思いつき、さっそく作ってみたのです。

指人形をはめるだけで、何となく楽しくなります。両手のそれぞれの指にはめて「こんにちは」をさせます。そして、指の付け根の関節が曲がることを確認しました。

同時に、指番号も確認しました。後で、弾く時は、まず、3の指から練習します。

ピアノのふたをあけて中を見る

次に、体験レッスンに最近必ず取り入れている、ピアノのふたをあけて、音が出る時に、動いている部分を確認しました。

電子ピアノで練習する場合の多い最近のお子さんたち。スイッチがない、ピアノの音がどうして出るのかを知ってもらうことは、とても重要だと考えています。

鍵盤を弾くとハンマーが動く様子、右のペダルを踏んでダンパーが上がる様子、左のペダルを踏むと鍵盤全体が動く様子を見てもらいました。あっちこっちが動く!上がる!とびっくりしたようです。

その後、ピアノの真ん中探し。一つずつ右と左から鍵盤を弾いて真ん中を確認していきます。

実際にピアノを弾いてみる

真ん中を確認し、ドの音を使って、音を出してみます。3の指を使って、さっき指人形でやったように、付け根から曲げて弾いてみます。

やはり、指人形を使って、あらかじめ練習していたので、指の付け根から曲げる感覚はわかりやすかったようです。最初はゆっくりと、音が消えるまでずっと聞きながら練習してみました。

次に、ドを左右交互に4拍×8小節練習しました。すぐにできるようになったので、最後に私と連弾して、体験レッスンは終わりです。

「楽しかった」が大切

体験レッスンが終わったあと、「楽しかった。」と言っていました。やはり、この感覚が大切です。

ピアノを弾いてみる→練習する→できたら楽しい この流れができることで、ピアノの練習への意欲は高まります。

レッスン日程も決めて、4月からを楽しみに帰っていきました。私も、新しい生徒さんとのこれからのレッスンがとても楽しみです。

「両手でピアノが弾けるってすごいことですね」

「両手でピアノが弾けるってすごいことですね。左右違うことをするんですものね。」

確かにそのとおりです。ピアノでは、右手と左手が全く違う動きをするのですから、最初はちょっと戸惑います。でも、慣れてくると、それが当たり前になってきます。

慣れてくると当たり前に

最初に書いた言葉は、先日、小学生の生徒さんのレッスンの後、聴いていらっしゃっていたお母様が言っていたものです。

お子さんは、ピアノを始めてそろそろ2年になります。だんだん曲が難しくなってきて、左手の伴奏の上に、右手のメロディーがある曲を弾けるようになってきました。

当然、左右別々の動きをすることを当たり前のこととして、弾けるようになっています。

お母様は、ピアノはほんの少しやっただけなので、お子さんが今のように弾けることを感心して見ているのだそうです。

慣れるまでは、とにかくゆっくり弾く

確かに誰でも、最初は少し戸惑います。違う動きをするということは、例えば右手の親指と左手の小指を一緒に動かすことになります。

特に、弾くタイミングが左右違う時、一緒に動いてしまうので、その部分の慣れが必要です。

ただ、その頃には、ほとんどの生徒さんが、自力でかなり楽譜が読めるようになっています。

ですから、右手と左手を別々に練習する課題を宿題としてお家でしてきてもらい、できるだけ、両手で合わせる最初の段階をレッスンで見るようにしています。

初めて左右のタイミングの違う曲を弾く時には、とにかく、とてもゆっくり、考えながら弾ける速さから始め、タイミングが理解できてから、少しずつ速くしていくのです。

ピアノらしい楽しさが味わえるようになる

また、左手の伴奏の上に、右手のメロディーがつくようになると、ピアノらしい楽しさが味わえるようになってきます。これができるようになることは、生徒さんにとっても、とてもうれしいことです。

「両手になって大変だけど、面白くなってきた。」と生徒さん自身が言ったり、お母様から「大変だけど頑張る、本人が言っています。」というお話を聞きます。

大きなステップではありますが、同時に大きな楽しさももたらしてくれるのです。

ピアノの練習を通してより良い自己イメージを身につける

ピアノを学ぶことは、ピアノそのものの上達だけではありません。特に小さいお子さんの場合、より良い自己イメージを描くことができるようになる、という良さもあります。

面談でいろいろ保護者の方からお話しを伺う中でわかってきました。ピアノそのものの進歩・上達はレッスンで見ることができますが、お家での練習の様子からの成長ぶりを知ることができるのです。

練習すればできる、という自己イメージ

小さいお子さんの場合、「弾けないと「くやしくて泣くんですよ。」という場合があります。

なかなか思うように弾けない。そうするとイライラするのですね。それが「泣く」という表現方法になってしまいます。

でも、そういう気持ちを持つということは、逆に上達したいという強い思いの表れでもあります。

去年の面談では、そんな話も出ていた幼稚園年長の生徒さん。1年たった今年、「練習すればできるようになる、という見通しが持てるようになったのでしょうね。泣くことはなくなりました。」というお話がお母様からありました。

これはとても大きなことです。自分自身の中に、「今はできなくても練習すればできるようになる」というイメージが出来上がったことですから、大きな自信になります。

自己イメージの向上が進歩の連鎖を生む

自分に対しての良いイメージを持つことは、様々な良い連鎖を生んでいきます。

学習でも、運動でも同じように「今はできなくても、勉強・練習すればできるようになる」という気持ちを持って、実際に取り組むことができるようになります。

特に中学生の学習面では、私の経験からも、家庭学習そのものに取り組めない生徒が多かったのです。ですから、実際に取り組むこととしっかり結びついた自己イメージがあるというのは、とても重要なことです。

そういう経験があるからこそ、特に練習の習慣化ということについて、私自身あの手この手で身につくように工夫をしています。

幼児期は一つのチャンス

中学生だと、本人が「やろう」という気持ちになるかどうかがとても大きなカギを握ることになります。

でも、小さいうち、特に幼稚園~小学校1年生くらいの年齢のうちは、それほどの自覚がなくても、より自然にその感覚を身につけることができます。

ピアノの上達そのものも、それくらいの年齢から始めるほうが、自然に、無理なくできるようになります。

そういう意味で、幼児期は一つの大きなチャンスであると言えるのです。