大人のレッスン

保育士さんを目指してピアノの特訓

保育士になるための短大に4月から入学するという学生さん(今の段階では高校3年生ということになります)が入会しました。

ピアノは未経験とのこと、4月までに学校から指示された曲をある程度弾けるようにしていく必要があるそうです。同時に、学校でもピアノの特別講座が開かれているので、受講中とのことです。

学校の指定というバイエルをお持ちになりました。私にとっては久々のバイエルです。

とりあえず、第1目標の30番まで、できるだけ速いペースで進めましょう、ということで、レッスンを始めました。

片手ずつ弾く部分は、学校の特別講座で○をもらったとのことですし、このあたりはそれほど難しくはありません。

やはり、「両手で別の動きを同時にする」という部分が、最初の難関になります。

最近の子ども用の入門書と違って、すぐに両手。すぐに別の動き。改めて見返してみると、なかなかステップの一段が高い。

逆に今回のように、保育士さんや学校の教職を目指すという、目標のはっきりしている大人が、短期間である程度弾けるようになるための教材としては、良いのかもしれません。

まず、左右別々に練習をします。特に左手をたくさん練習していきます。とはいえ、やみくもに回数だけ重ねても、時間がかかるだけです。

10番台の左手の伴奏は、ドソレソミソのように、パターンがある程度決まっているので、まず、そのパターンを見つけ出すこと。パターンからはずれている部分の練習をたくさんすること。

両手の練習の場合には、同時に弾く部分がどこなのかを意識すること。弾きにくい部分は、弾ける速さまでテンポを落として、その部分を取り出して練習すること。

脳の仕組みの話もしました。しばらく慣れるまでは、練習回数をある程度多くすることが大切であること。

まだ、動きはぎこちないのですが、それでも、弾いているうちに少しずつ、慣れていく様子が見えます。

最初は大変ですが、そこを乗り越えれば、ずいぶん楽になってきます。目的もはっきりしていますから、意欲も伝わってきました。

帰り際、「もう1時間たったのですね。びっくりしました。」と言っていました。それだけ集中して練習したということです。

ぜひ、頑張って、保育園の子どもさんたちと、楽しく歌がうたえる先生になってほしい。そのためのお手伝いができることを、とてもうれしく思います。

大人こそ楽しい時間を積極的に作る

たうらピアノ教室には、50代、60代の大人の生徒さんもいます。皆さん、お仕事をしながら、でもピアノを習いたい、上達したいという思いでいらっしゃっています。

大人になってからのピアノは、小さい子どもさんのようにどんどん上達することは、 確かに 難しい。でも、着実に上達はしていきます。

大人の場合、私自身も経験がありますが、仕事、家事でいっぱいになってしまいがちです。

もともと仕事だけでも長時間ですし、通勤時間もあります。日本の場合、どうしても会社にいる時間が長い傾向にありますから、なかなか自分の時間が取れません。

もちろん、仕事の中にもやりがいを感じる部分はありますし、楽しさもあります。家事もそうですし、育児は子どもの成長を支えていくというとても大切な役目でもあります。

でも、そんな生活の中でも、「自分」が主体となって何かをする時間を作っていくことには大きな意味があるように思います。

昨日の生徒さんも、そうです。土曜日に時間を作って、思い切ってピアノを始めることにしました。

子どもの頃に少し習っていたそうですが、ロシアピニズムの話をすると「面白そう。これは楽しくなってきました。」ということで、音の出し方からまた、始めることにしました。

姿勢、手の支え…。ひとつひとつレッスンしていきます。その中で新しいことを学ぶ楽しさ、手の使い方によって音が変化する楽しさを感じています。これは、子どもも大人も同じです。

自分が楽しいと思う時間を作ること。逆に、大人だからこそ、そんな時間が貴重であり、それを自分自身が作っていくことが大切なのです。

支えを作っていく

大人の方のレッスンもさまざまです。子供の頃に経験があって、ここで改めて奏法も含めてレッスンを開始した方がいます。

「ロシア奏法による初めの一歩」を使って、レッスンをしていくことにしました。

私の先生の著書、「『響き』に革命を起こす ロシアピアニズム」には「日本人がイメージする『ロシア奏法』という『奏法』は存在しない」と書いてあります。

確かに、そのとおりです。ただ、「現在日本語で出版されているものの中」では、ロシアの教本を訳したこともあって、支えを作るイメージを持ちやすいという点で、使いやすいと判断したのです。

身体の使い方を意識していく

椅子に浅く腰かけること。身体をおへその下の「丹田」を意識して前傾させ、自然に下向きの力が使えるようにすること。足でしっかり身体を支えること。

これを意識していくことから始めます。

同時に、手を自然に置くと、手は逆ハの字になるはずなのですが、ピアノを弾いた経験のある人は、むしろこれが難しいようです。

どうしても、肘が横に張って「まっすぐ」あるいは「ハの字」になってしまいます。この方も、右手は上手にできるのですが、左手が難しいようでした。

私自身をふり返っても、右手はできるのに、左手がうまくできない状態が長く続きました。当時は練習時間もあまり取れなかったので、筋肉がついてきて、ある程度形ができるようになるのに、1年以上かかってしまいました。

手の内側の支えを作る

その上で、手の内側の支えを意識して音を出していきます。

最初は3の指、中指から。指の付け根から曲げて、手の内側の筋肉を意識して一音を響かせていきます。

前回、鉄琴を使って、「響く」ということのイメージを持ってもらいました。そのイメージを頭に置きながら、指で鍵盤を弾いて、すぐ力を抜く、その練習をしていきました。

何回か練習しているうちに、少しずつ、コツがつかめてきたようです。

らせん階段を上るように

進歩のイメージは、つい直線になりがちです。そうすると、同じことを指摘されると、進歩していないように感じがち。でも、実際はそうではありません。

私はらせん階段をイメージしています。同じところを通っているように思っても、一周回っていれば、その分だけ違うとらえ方ができるし、違う景色が見える。

例えば、逆ハの字に手をおくこと。続けていれば、前回よりも、前腕の筋肉がついているわけですから、「実際にできる」状態に近づいています。

ついつい、すぐ結果を求めがちですが、少しずつ少しずつ。でも着実に「響き」が出せるようにしていく。

私自身も、その学びの中にいるひとりです。常により良い響きを求める気持ちを常に持ちつつ、らせん階段を一歩ずつ上っていきます。

趣味でピアノを弾くからこそ、音色にこだわってほしい

こんにちは。

昨日は、忙しい方が、少ないピアノ練習時間をうまく使うための工夫ということで書きました。

関連して、今日は、「趣味でピアノを弾くからこそ、音色にこだわってほしい」と思うので、それについて書いていきます。

忙しい方が陥りやすいループ

私自身のことを少し、例にあげてみます。

私は、「教育学部音楽科」の出身ですが、中学校現場で「国語科」の教員として長く働きました。

ですから、その期間について言えば、ピアノは「趣味」に近く、少ない時間をやりくりしつつ練習していました。

その頃は、「弾けるようになる(音を間違えずに並べられるようになる)」という段階がまずあって、次に「曲の解釈」「曲想をつける」て「表現する」という段階になる、と大きく言うと2段階にとらえていたように思います。

仕事をしながら、少ない時間をやりくりしていると、昨日書いたような工夫をいくらしても、なかなか第1段階である「弾けるようになる」というところがクリアできません。

いつまでも弾けない→自分らしい曲想をつけて「表現する」ことができない→レッスンに行きづらくなる→弾けたらレッスンに行こうと考える→次のレッスンが決まっていないので練習が後回しになる→さらに弾けない

という困ったループにはまってしまいがちです。

私だけでなく、同じようなループにはまってしまった方を、何人も知っているので、ありがちなことなのです。

音色にこだわると、過程がより楽しめるようになります

今の奏法で音色にこだわり、響きにこだわるようになってから、感覚が変わりました。

常に、すべてが一つのまとまりとして感じられるようになるのです。

たとえ8小節であっても、弾きながらその8小節の音楽を細かく感じることができる。

忙しくて練習がなかなかできなくても、8小節なら、何とかなります。

そしてその8小節の中に、自分なりのイメージ、表現を反映させていくことができます。

実際、「今日は、これしか弾けません。」と言って、1ページだけしかレッスンに持っていかなかったこともありました。

それでも、その中で音の出し方、響かせ方、学ぶべきものがたくさんあったり、自分自身の進歩が実感できたりしました。

小さい単位であっても、その中に大きな広がりがあり自分らしさを「表現」していくことができる。

過程をより楽しむことができるのです。

極端な話、1音でも良いのです

時々は、1音の出し方だけで、かなりの長時間レッスンしていただいたこともあります。

その大切な1音。

どう響かせ、どんな音がほしいのか。

そのためには、身体をどう使い、指や手をどう動かしていったら良いのか。

先生の響きを聞きながら、自分の耳で、今度は自分の音を聞いていく。

その繰り返しをしていきます。

これも、とても貴重な時間であり、貴重なレッスンなのです。

何よりも楽しむこと、続けることが大切

1音でも良い、となると、ずいぶんハードルが下がるのではないでしょうか。

ピアノの前に座り、集中して音を出す時間を、少しでも持つこと。

忙しい生活を送っているからこそ、その時間が楽しいものであってほしい、そして楽しいからこそ続けられる、そう思うのです。

忙しい方が、少ないピアノ練習時間をうまく使うための工夫

こんにちは。

「なかなか練習する時間がなくて。」特に大人の方はそうですね。

私もフルタイム勤務していた時、本当にそう思いました。でも、少しずつであったとしても、毎日弾けば上達していきます。

今日は、趣味でピアノを学んでいる忙しい大人の方が、こんな点を工夫すると良いのでは、ということを書いていきます。

主に、ピアノに向かう以外の時間をどう使っていくか、ということが書いてあります。

自分の練習中の曲をたくさん聞く

ピアノの前に座っている時間は短くても、移動中車の中や、電車の中、あるいは家事をしているときなどで、耳が空いている時はあるのではないかと思います。

そんな時には、今、練習している曲を聞く、ということをおすすめします。

一人のピアニストの演奏ばかりだと、自分の演奏への影響が強すぎてしまう場合がありますので、最初はいろいろなピアニストの演奏を聞くことが良いでしょう。

今はYoutube上にたくさんの演奏があふれている時代。

3人、5人のピアニストの演奏を探すことなど、あっという間です。

聞くことで、譜読みの予習にもなりますし、演奏についての自分の好みがわかります。

このピアニストのこういう部分が自分にとって魅力的だ、などを言葉にして意識していけば、自分が表現するときにも参考になります。

楽譜を眺める

家族の都合に合わせていると、音を出せる時間の限られているピアノの練習がどうしても後回しになりがちです。

ちょっとした隙間時間に、楽譜を眺めるというのもおすすめです。

眺めるときのポイントは、同じ音形がどこに出てくるのかな?と探すことです。

こことここは全く同じ、こことここは音は違うけれど、パターンが同じなど、似ているところ探しをしていきます。

多くの場合、似たような音形があちこちに使われていますので、そこが頭に入っていると、実際の練習の効率化につながっていきます。

私も、仕事が忙しかった頃は、縮小コピーした楽譜を持ち歩いて、ちょこちょこと眺めていました。

電車の中だと、聞きながら見られるので、レッスンに行く途中の電車の中でもよくやっていました。

指遣いを考える

机やテーブルが使えて、書き込めるスペースがある場合は、指遣いを考えて書き込めればなお、良いでしょう。

特に、新しい曲を弾き始めるときには、指遣いをしっかり決めていくことが大切です。

一般的な記憶と作業記憶とでは、脳の中の記憶の保管場所が異なるそうです。

ピアノは作業記憶の色合いが強いので、最初に指遣いをしっかり決めて何回もそれで練習していくと「指が覚えて」いきます。

どうしても練習時間が少ないとこの部分が難しいので、少しでもピアノの前にいる時には実際に音を出すことに集中したいですよね。

あらかじめ考えておくことで、ピアノの前に座っているときには、音を出す時間が多く取れるようになります。

ただ、机上で考えていたものが、意外に弾きにくい場合もあるので、その時は、潔く変更します。

たとえ5分でも、毎日弾いて、それを楽しみましょう

忙しい中でも、とりあえずピアノの前に座る。そして5分でも弾いてみる。

やはり上達の最大のポイントはここにあることは間違いありません。

私自身も、かつて疲れている時にピアノの前に座って、気がつくと譜面台に顔を伏せて眠ってしまったこともありました。

それでも音が出ると、やっぱり楽しい。その楽しさが、日々の生活をまた頑張ろうと思う、励みにもなります。

ぜひ、楽しんで、ピアノを弾いてほしいと願っています。

音符の名前と仕組みを理解する

こんにちは。

音符の名前が分かると、長さが分かります。

割り算と、漢字が理解できるようなる小学校高学年以上の生徒さんに説明すると、とてもよく分かるようになります。

 

2分音符、4分音符、8分音符。

どうしてこういう名前がついているのでしょうか?

実は、全音符から考えていくのです。

全音符は4拍です。

それを「2」つに「分」けるから、2分音符。

全音符4拍を2つに分けると、4÷2=1で2拍です。

 

4分音符も同じです。

全音符を4つに分けるから、4÷4で=1で1拍になります。

8分音符も全音符を8つに分けて4÷8=0.5

 

ピアノは、多くの場合、漢字も、算数の割り算もわからない小さいうちに始めます。

ですから、最初の段階では、4分音符が1拍、2分音符は2拍、と一つずつ覚えていくことになります。

8分音符は4分音符の半分。16分音符は8分音符の半分。

 

小さいうちはやむを得ないのですが、ある程度の学年になって、割り算が分かり、漢字も分かるようになると、全音符からの全体像が理解できるようになります。

全体像が理解できると、これとこれが組み合わさって1拍ということが、すぐ分かるようになり、リズムが取りやすくなるのです。

 

保育士の生徒さんに、図を書いて、全体像のお話をしました。

「中学校の音楽の時間に、どうしてこうなるんだろう?とずっと思っていたんですよ。テストを受けなくてはいけないでしょう。なんだかよく分からなかったので、『勘』で書いていました。なるほど、こういうことなのですね。よく分かりました。」と納得していました。

小学校6年生の生徒さんも、小さい頃からピアノを習っているので、4分音符は1拍、2分音符は2拍ということは、とてもよく分かっています。

でも、音符の足し算をやった時に、「あれ?どうなるんだろう?これとこれを足すと……」とだいぶ迷っていたので、この全体像を説明すると、「これとこれを足すと1拍、そういうことなんだ!」ととてもスムーズにできるようになりました。

 

音符に限らず、物事を学ぶ時、部分と全体の行き来をすることは、理解する上でとても大切なことだと考えています。

他にも、同じようなことがあるかもしれません。

私自身も意識していこうと思っています。

音楽に表情をつけていく

こんにちは。

音楽に表情をつけていく、その意識を持つことはとても大切です。

 

2ヶ月限定、集中ということで、レッスンにみえている大学生の生徒さん。

大学で映画を撮影するサークルに入っていて、「ピアノを弾くシーンがあるんだけど、誰かやって!」と頼まれて引き受けたとのこと。

中学1年生までピアノを習っていたとのことですが、その後は弾く機会がなく、ブランクがあります。

中学校で吹奏楽部に入り、クラリネットを吹いていたとのことで、読譜力はしっかりしていました。

 

曲はパッヘルベルの「カノン」です。

もともとピアノの曲ではないので、ピアノ用に編曲されたものは、難易度別に何種類かあるようです。

その中で、御自分が選んだ楽譜を持ってきました。

撮影に使うのは、16分音符の連続がある部分。

撮影後、年が明けてから4年生とのお別れ会があって、そこで弾きたいとのことで、全体を練習しています。

そのお別れ会の時には、もう一曲「戦場のメリークリスマス」を弾くので合計2曲。

とても努力家で、コツコツ家でも練習し、頑張っています。

 

撮影日がもうすぐということで、昨日は「カノン」、しかも撮影に使う部分を重点的にレッスンです。

音を出す、という意味の「弾くこと」はできているので、さらに美しく、音楽的にということを考えていきましょう、というお話をしました。

16分音符の部分は、細かく動きますが音型や和声の変化を感じ取っていくこと、それによって音量を変えたり、微妙な間を取ったりという工夫をしていきます。

原則として、上行音型はクレッシェンドを、下降音型はデクレッシェンドをつけること。

和音の進行によって、緊張感が変わることをお話しし、私も実際に弾いてみせました。

 

その後、自分でやってみる、自分の感覚で音楽を作っていく、ということをしてみました。

何回か弾いているうちに、しっくりきたのでしょう。

曲の印象がずいぶん変わり、音楽が生き生きしてきました。

吹奏楽での経験もありますから、そのあたり、つかむのが早かったのだと思います。

 

「弾く」と一言で言っても、さまざまな要素があります。

でも、大切なことは、「美しい」と思える音楽を作っていくこと。

その意識が、演奏を大きく変えていきます。

指でミスタッチが分かるようになる

こんにちは。

ピアノを弾く時は、目→頭(脳)→指→耳がフル回転しています。

弾く経験を重ねていくうちに、このつながりがしっかりしてきます。

上の書き方ですと、一方向に流れているように感じられますが実際は違います。

目と脳、指と脳、耳と脳。

これらのつながりが複雑に絡み合って、使われている、という感じです。

 

大人の女性の生徒さん。

前回のレッスンでも、ずいぶん手の動きがスムーズになってきたと思いました。

今回、さらに家で練習してきた成果があって上手になっています。

1曲通して、ミスなく弾けることも出てきました。

間違うときもあるのですが、弾いた瞬間に「あ、これ違う。」と言うことが増えてきました。

 

以前でしたら、弾いて、出てきた音を聞く間があってから「あ、これ違う」だったのです。

今回は、「あ、違う」というタイミングが、とても早くなったので、詳しく伺ってみたところ、弾いた瞬間、指の感覚で「これ違う」ということが分かるようになったとのことでした。

これについては、以前読んだ「ピアニストの脳を科学する」という本に次のように書いてありました。

ピアニストの脳は、ミスすることを事前に察知し、意図しない音を鳴らそうとする指に対して、急ブレーキをかける指令を送ります。損結果、ミスは避けられないにしても、誤って鳴らしてしまう音の音量を弱め、ミスタッチが音楽に及ぼす影響をできるだけ減らす、という極めて巧みなことを、自動的にやっているわけです。

古屋晋一「ピアニストの脳を科学する」春秋社

以前、これを読んだ時には、なるほどそういうものか、で過ぎてしまいました。

今回、レッスンの時に生徒さんのお話を伺って、もちろんピアニストとレベルは違いますが、レッスンを重ねていくうちに、指で感じる、指と脳をすばやく結ぶ回路ができてくるのだということが分かりました。

 

人間の脳というのは、素晴らしいものだとつくづく思います。

訓練し、使うことで、どんどん成長していくのだということ。

そして、それは年齢には関係ないのだということ。

ピアノを通して、人の成長にかかわらせていただくことができる、ほんとうにうれしく思いました。

ブランクが長い方のピアノレッスン

こんにちは。

かつてピアノを習っていても、ブランクがあると思うようにはなかなか弾けません。

いくつかポイントを押さえることで、少しは弾きやすくなっていきます。

 

「久しぶりにピアノを弾くことになったんだけど、思うように指が動かなくて、困っている。見てもらえない?」と知り合いに頼まれました。

子どもの頃には、ピアノを習っていて、学校の伴奏なども弾いていたので、その当時はかなり弾けていたのですが、ブランクが長い。

来てから、まず、一度弾いてもらいました。

昔のピアノ教育ですから、当然「しっかり」弾いています。

今も、家では電子ピアノで練習しているとのこと。

これも「しっかり」弾くことにつながります。

力が入ると、指はよけいに動きにくくなります。

 

「ここのピアノ、すごく音が大きい。」とびっくりしていましたが、それも「しっかり」弾いていたからよけいそうなのです。

まず、「できるだけ力をぬきましょう。」ということで、手首を上げ、力を抜く練習をしました。

「省エネで、今までの1/3の力で弾くつもりで。そうすると指も動かしやすくなります。」

これで少し指の運びがスムーズになりました。

 

「目と、指がつながらない。」とも言っていました。

楽譜を読み、ピアノを演奏する時に、目でみている音をその瞬間に指で弾くことはできません。

必ず少し先の音符を見て、手の動きのほうが後からついていくことになります。

ブランクがあると、この感覚が変わっていくのですね。

少しでも戻すためには、ある程度の回数を弾くことが必要です。

長い部分をくり返していたので、4小節をひとまとまりとしてとらえること、練習も4小節を単位としてすると良いことをお話ししました。

 

同時に、「目と手がつながる速さから練習すること」

これも大切なことです。

聴いていると、止まるところはだいたい決まっています。

そこで止まって弾き直すと、「止まって弾き直す」ことも一緒に脳内にインプットされてしまいます。

ですから、「ゆっくりでも止まらずに通して弾ける」ということから徐々にテンポを上げていく方が結果的に上達は速くなります。

 

「昔、100メートルを16秒で走れたから、と言っても、40年後に走れるわけないものね。でも、自分の中のイメージは16秒なのよね。」

わかります、それ。本当にその通りです。

楽譜→目→指の流れをスムーズになるためには、脳内のワーキングメモリが関係することが分かっています。

すぐには元に戻らないかもしれませんが、練習しているうちにだんだんと変わっていきます。

「分かった。できるだけ、回数を増やして練習してみる。」と言って帰っていきました。

ぜひぜひ楽しみながら、練習してもらえれば、と思います。

弾きたい曲にチャレンジしてピアノを楽しむ

こんにちは。

ピアノを続けていく上で、「これが弾きたい!」と思う曲にチャレンジできている、ということもとても励みになることです。

 

大人の女性の生徒さん。

お仕事も、家事もあり、とてもお忙しくしている。

でも、ピアノを弾きたいとチャレンジを始めて、ここで1年になります。

生活の中に、ピアノの練習の位置づけがしっかりできてきました。

先日のレッスンの時も「毎日練習してきたんです。」とおっしゃっていました。

その前のレッスンの時、テンポのことを話し、ここではメトロノームを使いました。

すると「メトロノーム、買ったんです。」とチューナーもついたメトロノームを見せてくれました。

 

今、クリスマス会に向けて、ベートーヴェンの「悲愴」第2楽章をハ長調にアレンジしたものを練習中です。

この曲も「私、これを弾いてみたいんですけど…。」とご本人がおっしゃったもの。

難しい部分もありますが、とても意欲的に取り組んでいらっしゃいます。

右手と左手のそれぞれを聴かせてもらいましたが、とてもスムーズに弾けるようになっていました。

せっかく買ったメトロノームですので、テンポを設定して拍子を意識して練習もしました。

 

いよいよ両手です。前回も前半8小節はレッスンで合わせてみました。

ゆっくり。音符を追う目と、手がついていける速さからです。

4分音符で動きのあるところは、難しいと思っていたら、さっと弾けるようになりました。

これは、片手ずつの練習の時、右手の動く1小節をたくさん練習したからなのですね。

やはり、練習の成果が出ています。

 

むしろ、その後の音をさがすのが、大変そうでした。

1小節を取り出して練習していたので、その後のつながりが意識できにくくなっていました。

そこで、動きのある音型の最後の音と、次の小節の最初の音だけの練習をしました。

ここからここへ動く。

これも、意識をそこに向けて集中して練習していくと、スムーズに流れるようになっていきます。

次に後の小節全体、次に2小節つなげて弾いていきます。

少しずつ、弾ける部分を拡大して練習していくと、前半8小節がスムーズに繋がるようになりました。

 

大人の場合、特に「気に入った曲で練習出来ること」「少しずつできる部分を広げていくこと」、これを意識していくと楽しさが違うので、上達も違ってきます。

せっかくのピアノですから、ぜひ楽しく弾いてほしい、そしてその中で上達してほしい、そう願っています。

「家でもまたやってきます」と言って帰っていかれました。

次も楽しみです。