弱音の美しさに意識を向けて
こんにちは。
昨日は節分。今日は立春。寒いけれども日がずいぶんのびて光が明るくなってきたのを感じます。
昨日、豆まきをしたご家庭も多いでしょうね。
小さいお子さんのレッスンでは、「豆まき用のお面を作った話」や「福の神のお面の話」など、節分の話題もいろいろ出て、ほほえましく思いました。
福の神のお面は、昔はなかったので「福の神のお面があるの?」と聞いたら、実物を見せてくれました。おかめさんのお面で、なるほど、と思いました。
今日は、「弱音の美しさ」について書いていきます。
基本的にピアノの楽譜には強弱記号がついています。(昔作曲された、例えばバッハの曲などには、ついていない版もありますので、基本的にと書きました。)
レッスンをしていると、生徒さんの演奏には、「強い音を弾く方向に意識が向く」傾向があることに気がつきました。
これは、強弱をつけよう、という気持ちがあるからこそだと思いますが、音楽をより美しく仕上げるためには、「弱い音」をいかに意識して演奏していくか、ということはとても大切なのです。
私は、体格も小さく、手もピアノを弾く者としては小さくて、大きい音を出すのが不得意でした。そうすると強弱の幅が狭くなってしまう気がして、自分でもその部分が不本意でした。
今、奏法を変えてみると、「自分の中で強弱がつけばよい」ということに改めて気づくことができました。
自分が響きのある音で弾ける大きな音をffとして、弱い方の段階を増やしていけば、強弱による表現は十分つけることができます。
pの段階をたくさん作っていけば良いわけです。
このコントロールが、今、私の学んでいる奏法ではとてもしやすくなります。
さらに、響きそのものを変えることによって、強弱だけにたよらない、多彩な表現をすることができるようになります。
同じpでも、柔らかい音、細い音、深い音などさまざまな音色を作っていくことができるのです。
プレトニョフというロシアのピアニストのリサイタルに行ったとき、弱音の無限の段階があり、響きの違うたくさんの音色があることに、本当に感心しました。
また、ピアノではありませんが、かつて聞いたフレーニ、グルベローヴァなど、世界トップクラスの歌手の歌声からも同じことを感じました。
奏法は違っていても、まず、「弱音の美しさ」にぜひ、意識を向けてピアノを弾いてみてください。演奏が変わってくると思います。