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2018.11.11

調性で読み解くクラシック/吉松隆/yamaha music media 読みました 

こんにちは。

先日の「クラシック音楽の世界」を読んで、展開部の転調の性格が気になりだしたこと、以前「平均律クラヴィーア曲集」のレッスンの際、「この調のイメージは?」と聞かれ、「調のイメージってなんだろう?」という状態だったことから、「調性で読み解くクラシック」という本を読みました。

一言で言うと、とてもおもしろかったし、ためになりました。

ためになることだらけだったのですが、いくつかのポイントだけ、ご紹介します。

 

楽器には得意な調、苦手な調がある。

ピアノ中心思考なので、まずこれを読んで「なるほど……」と思いました。

確かにピアノについて書かれていることや、私の乏しい弦楽器(大学時代に弦楽器の授業があって、チェロをほんの少しだけ弾いたことがあります。)管楽器(同じく、ほんの少しだけクラリネットを吹いたことがあります)経験からしても、なるほど、です。

ピアノは一見、全部白鍵のハ長調が弾きやすそうですが、手の形からすると、黒鍵が混ざっていたほうが弾きやすい。

変イ長調の部分に「黒鍵駆使のピアノ曲でショパンがお気に入り」とありましたが、確かにそうなのですよね。

 

弦楽器は、ヴァイオリンが例にとってありましたが、開放弦との関係で♯系が得意。

確かに学生時代のみんな初心者の合奏で、唯一音程がピタッと合うのが開放弦、などということもありました。

管楽器。特に金管楽器の涙ぐましい持ち替えの話なども、知識として今までに聞いたことはあっても、調性との関連でこのようにまとまっていると、なるほどそういうことか、と実感がわいてきました。

クラリネットがB管であるように、♭系が得意。(本にはもっと詳しく書いてあります)

作曲家はこういうことが全部分かって作曲しているわけで、すごいな、と改めて思いました。

 

もう一つは、バッハについてです。

この発想で作曲されたバッハの〈平均律クラヴィーア曲集〉(全2巻で、第1巻が1722年頃に完成)が有名だが、実際に西洋クラシック音楽界で一般的になるのは19世紀から。(p.104)

彼(J.S.バッハ)は、決して斬新な視点で何か創造的なことを成し遂げたわけではなかったが(実際、生前は「古くさい学者みたいな音楽家」とsれていたらしい)、「対位法」を声楽および器楽のあらゆる組み合わせで実践し、フーガの形を極限まで洗練させ、「平均律」という発想を駆使してすべての「調性」に対する「作曲」への道を開いた。(P.127)

今、ちょうどバッハのフランス組曲を弾いていますが、フランス組曲に限らず、バッハの転調は本当に美しく、自由自在に調性を操っている感じがします。

また、実際に調性に対する感覚が大きく変わってきたのが、19世紀というのも、実感できました。

 

日本の音階についても取り上げられていたり、巻末には、調性ごとの性格やその調で作曲された主な作品も掲載されていたりして、とても勉強になりました。

まずは、いくつかに絞ってご紹介しましたが、またじっくり読み込んでいきたい本です。